音楽ライブのもぎりのバイト後、平謝りした思い出話

音楽ライブのもぎりのアルバイト

 

高校時代の友人に頼まれて、ライブのもぎりのバイトをしたことがある。

ぼけーっと座ってお客さんのチケットを引きちぎる簡単なバイトだ。1000枚くらい引きちぎるともうやることがない。会場に入ってライブを観ても構わないと言われていたんだけど、売店で忙しなく働いている人たちと話をしているのが楽しくてずっと喋っていた。

途中で「じゃあ、ちょっと俺行ってきます」と言っては1人、2人と抜け、しばらくすると戻ってくるというのを繰り返していたんだけど、喋ってるのに夢中であまり気にせず喋っていた。

 

何気なく無礼な質問をぶっ込んだ俺。

皆、音楽に熱い人ばかりでやけに事情に詳しかった。やっぱり全国まわって売り子している人は違うなあなんて思いながら、刺激的な会話を楽しめた。その中で、ひとりだけライブの終盤まで途中で抜けることなく、一緒に話していた人がいて、ふと、

「それにしても楽器弾ける人ってのは凄いですね。俺、高校んときにバンド組んでてベースやってたんですけど、難しくて。とうとう弾けないままライブ迎えて、ベース振り回して反対運動のプラカード持ちみたいになったんですよ。楽器弾けます?」

と話を振った。一瞬、その人の動きがぴたっと止まった。

「ええ、一応ドラムを……」

「えっ、ドラム!? 凄い! 俺も叩いてみたことがあるんですけど、スティックは飛んでいっちゃうし、右手と左手が同時に動いちゃうし、難しいですよね」

「あはは……」

「でも、やっぱりバンドに帯同する売り子さんも音楽好きなんですね~」

「え? ええ、まあそうですね。あっ、すみません。ちょっと行ってきます」

そういうと、その人は急いでどこかへ行ってしまった。

自分の失言に気づく無礼者

(売り子って忙しいんだなあ。ライブ会場でも売ってるのかなあ)

と東京ドームや甲子園球場で見かけたビールの売り子をイメージしながら、どんなふうにやってるのか観に行ってみた。

すると、ついさっきドラムが叩けると言っていた売り子の人が、演奏しているバンドに混じってドラムを叩いているではないか。

そこでようやく、俺は自分がこの日のトリを飾るバンドのドラム担当に非常に失礼な質問をしていたようだと気がついた。そして、売り子だと思っていた人たちが皆、バンドマンたちであったことを悟った。途中で抜けていたのは、自分たちの順番が回ってきていたからだったのだ。

ライブ終了後、俺が平謝りしたのは言うまでもない。

 

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