チャンスは年に2回だけ!
高認は年に2回(8月と11月)しかない。
勉強し始めたのが9月頃だったからその年の試験はあと2ヶ月後の1回しかなかった。
それに受からないと翌年から専門学生への道が閉ざされてしまう。
それだけは何としても防ぎたかった俺は、是が非でも11月の試験突破をすることだけを考えて毎日を過ごした。
でも、考えようによっては2ヶ月必死で頑張るだけで夢の専門学生生活への切符が手に入るんだ。
頑張らないわけにはいかない。このまま高校中退(履歴書的には中卒表記)で終わるのか、あと2ヶ月だけ頑張って先を目指していくのか。
こんな簡単な二択はないよね。
一応言っておくけど、俺は別に学歴にこだわっていたわけじゃない。初めて自分で本当に学んでみたい気持ちが芽生えて、初めて向学心を持って、理想的な学び舎を見つけて、そこに入るために必要だから高認を取得しようと思っただけ。(※重要なので太字にしてみました)
過去問繰り返しで傾向と対策を刻む
そう思うようにして、約60日間毎日数時間過去問と格闘し続けた。
10月に入る頃には過去問5年分を5回ずつくらいは解いてたんじゃないかな。
そうなってくると、大体の傾向と対策ってやつがわかってくる。「ああ、ここは毎年のように似たような問題が出てるな」とか「へえ、1年おきに同じようなのが出てるな」とかが何となくわかってくるのだ。
もちろん、それは7年くらい前の話だから今も同じような感じなのかはわからない。変わっているかもしれないし、変わっていないかもしれない。
そんな日々を繰り返しながら、とうとう11月。試験の日を迎えた。
そこで俺は衝撃を受けることとなった。
なんと高認試験の日本史・世界史は問題用紙が2種類あって、そのどちらかをその場で選ぶシステムがあったのだ。
まず両方配られてて、中身を確認してから「こっちの方が解けそうかな」っていうのを選ぶことが出来るってわけ。
勉強そのものの対策はしていたものの、こうした試験システムは一切調べていなかった俺は、いきなり驚かされることになった。
でも、結構ありがたいシステムなので、すぐに気持ちを切り替えられた。
そうして、試験時間50分に2ヶ月間の汗と涙の詰まった努力を注ぎこみ、試験終了。
問題。百姓一揆で捕まり、逃げ出した男が見た夢は何でしょう。
その年の日本史の問題の最後には、何だか小難しい古文みたいなのが掲載されていて、
「◯◯という人物がいた。
その人物は百姓一揆を始める際に団結した4,5人のうちの1人。最初は一揆なんて起こそうと思っておらず、偉いおじさんたちに『年貢が厳しいっす。少しまかりませんかね?』と穏便に平身低頭にお願いに行こうと思っていた。
それなのにも関わらず、その偉いおじさんのところに行く道中、面白がってたくさんの人々がついてきて、暴れる人が続出。
収拾がつかなくなり、たちまち一揆へと変貌してしまう。それに激怒した偉いおじさんたちは『誰が言い出しっぺだ、この野郎』と言って、◯◯という人物ら最初の直談判希望組4,5人を割り出し、処分しようと決めてしまった。
何とか逃げ出すことに成功した◯◯。逃げ込んだ茶屋でつかの間の休息。その際、◯◯が見た夢は何と書かれているか。
また、そのときの◯◯の気持ちに最も近いものはどれか」
というのがあって、思わず笑ってしまった。
結果発表前にオープンキャンパス
そして、結果発表までの約1ヶ月の間に希望する専門学校のオープンキャンパスに参加。
その際、専用バスが出ていたのだが、前の席の子が褞袍(どてら)にニット帽という姿で寝転んでいたのに衝撃を受ける。
何て個性とアクの強い学校だ。とますます入学への思いが強くなった。
結果、無事合格通知が到着。はれて俺は高卒の資格を獲得し、専門学校へ進学することが出来た。
その学校での2年間にも色々なエピソードが誕生したのだが、それはまた別のお話。
というわけで、高認試験についての体験談を長々と書き連ねたわけだが、とくに参考になるところはないと思う。
だけど、これから受けてみようかと思う方がいるなら、「こういうパターンもあるんだな」くらいには思っていただけると思う。
また、こういう試験を受ける手もあるってことで選択肢がひとつでも増えればと思って書いてみた。長文駄文失礼たまわり候。