誰しも特別な思い出や思い入れの深い駄菓子があるのではないだろうか。
「……それで、初恋の相手P子ちゃんが手づかみでヨーグルをくれたんだよなー」とか「山で遭難したときに奇跡的にポッケに入ってたチロルチョコで生き延びたんだよなー」とかである。
俺にとっては駄菓子界の重鎮「やまとの味カレー」なのだよ。
やまとの味カレー
大和製菓のエース! 伝家の宝刀、ピリッとスパイシーなカレー味。(大和製菓HPより引用)
謎のおじさん「坊主、このお菓子をあげよう」
この駄菓子にはちょいとした思い出がある。
小学生の頃、母親に連れられて「カワムラ」という小さなスーパーマーケットに行ったときのこと。
ガチャガチャを眺めたり、カードダスを吟味したり、アイスクリームを選別したりと忙しなくしていたら、突然見知らぬおじさんに声をかけられた。
そのおじさんは戸惑う俺に「坊主、このお菓子をあげよう」と言ってお菓子を差し出してきたのだ。それが、この「やまとの味カレー」だったのである。
当時の俺はまだこの旨そうなお菓子を未体験だったので、「何だか美味しそうなお菓子だな、欲しいな」と思うと同時に「でも、知らない人にお菓子もらうのはダメだし」という思いが複雑にまじりあって深い葛藤の渦に内心頭を抱えていた。
そんな苦しげな俺の様子を見たおじさんは、その理由を察したのか「あっ、おじさんはこの店の人だよ。なあ、◯◯さん」と言って暇そうに突っ立っていたレジのおばさんに笑いかけた。
◯◯さんが笑顔で頷いて「その人はここの店長だよ」と言うのを聞いて俺は安心してお菓子を受け取った。
どうして店長が突然「やまとの味カレー」をくれたのかは今でもさっぱりわからない。味の感想を聞かれるわけでもなければ、当然お金を請求されるわけでもない。ただくれたのである。
そんな不思議な出会い方をしたのがこの「やまとの味カレー」。
味カレーのアレコレ
パッケージを見てわかるとおり、「第18回全菓博大臣賞(全国菓子大博覧会 大臣賞)」を受賞しているらしい。
一見するとかっぱえびせんのような見た目をしているが、歯ごたえがまるで違う。より歯ごたえ噛みごたえが強力で「モノを喰ってる」感がより強い。
(余談中の余談だが、かっぱえびせんには過去「カレー味」が出たことがないようである)
ただ、共通点としてはどちらも「やめられない、とまらない」お菓子であることだ。
ちなみにパッケージのイラストのお侍さん風のキャラクターは「大和くん」というらしい。