子どもの頃を振り返ってみたとき、改めてゾッとするような体験がいくつかあったことに気づいた。
今回はそれを強引に思い返して書き出してみようと思う。
CASE1:小汚いおじさん
ひとつめは、小学校2,3年生の夏休みのことだ。
夏休み中ずっと開放されている学校のプールに行って泳ぎまくり、まどろみながらひとりで家に帰っていたら、道の脇から突然見知らぬ小汚いおじさんが飛び出してきた。
そして、俺に向かって指を差し、「バンッ、バンッ あんたは死んだ!」と言って高笑いしたのである。あまりにも突然のことに戸惑った俺は、軽く会釈して「こんにちは……」と蚊の鳴くような声でおじさんに挨拶をした。
おじさんはしばらく呆然とした様子で俺を見つめた後、「……こんにちは」と言って頭を下げた。俺は、おじさんを見上げ、ぎこちなく笑いかけると少しだけ歩幅を大きくして家に向かった。いきなり走り出すと、おじさんが追いかけてくるのではないかと思ったからだ。
なんとか家につくと、母親に変なおじさんに遭遇した話をした。
「帰ってきよったらな、鎌を持ったおじさんがいきなり出てきて……」
そう。あのおじさんは、右手でピストルの形を作り「バンッ、バンッ」と撃つマネをする傍ら、左手には鈍く光る鎌を持っていたのである。
※もっとも俺が住んでいた地域は田んぼや畑が多く、農家も多かったため作業途中のおじさんがからかっただけだと思われる。
CASE2:謎の女性
ふたつめは小学校6年生のことだったと思う。
市内最強を決めるドッジボールの大会に向けて、キャプテンだった俺は張り切って練習に取り組んでいた。誰よりも早く体育館にきて、誰よりも遅くまで練習をし、毎日がとても充実していたのをよく覚えている。
その日も全体練習を終えた後、体育が得意な先生と居残り練習をしていた。だけど、電話か何かで先生が呼び出しをくらってひとりになってしまった。
仕方がないのでボールを取り出して壁当てをして先生が帰ってくるのを待つことにした。
俺以外誰もいない体育館では、壁にボールが跳ね返る音と投球の際に床を踏みつけるのシューズの音だけが規則正しく響き渡って聞こえていた。
5分くらい経ったところで、ふいに気配を感じて入り口を振り返った。
「先生?」
しかし、入り口にいたのは先生ではなく、見知らぬ立派なカメラを持った女の人だった。
近づいて「あの、どちらさまですか?」と聞いた途端、女の人はものすごい勢いで写真を撮りまくり、走り去っていった。
結局、その女の人が誰なのかも、目的もわからないままである。
まとめ
世の中には不思議な出来事や人があるものだと思ったな。
ただ自分のことだから大したことじゃなく思えるけど、もし自分の子どもが同じような目に遭ったと考えたらゾッとする。
そう考えると、やっぱり危険なギリギリな体験だったのかなと思う。