かつて、人種差別を受けていた名選手集うリーグがあったらしい。
ニグロリーグをご存知だろうか。
1920年から約30年近く存在した、アフリカ系アメリカ人を中心とした野球リーグのことである。リーグの起こりを語るのにはあまりにもテーマが大きすぎるので、おいておくが、このリーグには非常に面白い選手と面白いエピソードが山のように存在している。
とんでもない伝説もりだくさん!
有名どころで言えば、サチェル・ペイジだろう。生涯で2000勝あげたとか、55回ノーヒットノーランをしたとか、180km/h近くの球速だったとか、1試合で28奪三振(最後の打者が振り逃げ)を達成したとか、とにかくスケールの大きな伝説がたくさん選手だ。
また「黒いベーブ・ルース」と呼ばれたジョシュ・ギブソンも外せない。諸説あるが、彼は生涯に900本以上の本塁打を打っているそうだ。しかも、打率の方も極めて優れていて3割6分近い生涯打率(ニグロリーグの17年間のデータのみ)。
クール・パパ・ベルも凄まじい。ベースランニング1周12秒(13秒台はプロ野球でもそうそういないらしい)。タッチアップで2塁からホームへ帰ってきたり、電気よりも速く移動出来たなんていう素早さを誇っていたらしいね。200試合で175盗塁を決めていたという。
もし、彼らの伝説がすべて本当であるなら、キャリアのすべてを最初からメジャーリーグで過ごせていたとしたら一体どんなことになっていたのだろう。
もちろん、すべてが思い描いているような結果をもたらしたなんてことは思わないが、それでも「もしかしたら歴史が大きく変わるような大記録が生まれていたんじゃないか」という夢想するくらい良いじゃないか。
たまには「たら・れば」も良いもんだ。
勝負の世界に「たら・れば」は無意味かもしれないが、彼らは時代背景もあって勝負もさせてもらえなかったのだ。
最も充実した時期に戦いたくても戦えなかった。もし、自分が彼らのように才能に溢れていながら、自分ではどうしようもない理由でそれを認めてもらえなかったと考えると、とても悔しい。
もしかすると、ペイジはメジャーリーグでも何度もノーヒットノーランを達成していたかもしれない。
もしかすると、ギブソンはメジャーリーグでもベーブ・ルースに負けない大本塁打を打ったかもしれない。
もしかすると、ベルは福本豊よりもリッキー・ヘンダーソンよりも早く1000盗塁を達成していたかもしれない。
野球史を振り返る際の「たら・れば」はこの上なく楽しい。