[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]ほら、さっさと続きを話しなさいよ![/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]はいはい。その後、ノムさんは南海ホークスの入団テストを受けたんだ。結果は合格。晴れてノムさんはプロ野球選手としてのスタートを切れた[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]おおっ! よかった![/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]でもね、ノムさんの野球人生はそんなに甘いもんじゃないんだ。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]ええっ!? [/speech_bubble]
入団テストを何とかかんとか合格した後も、キャッチャー候補たちは先輩投手たちの「壁」となり、ひたすらボールを受けるだけ。
ただ時間だけが過ぎていった。
結局、1年目の成績は11打数0安打で、いきなり戦力外通告を受けてしまう。
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]ちょ、ちょっと! もうノムさんのプロ野球人生終わっちゃったじゃない! [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]まあ、落ち着きなさいな。ノムさんは転んでもタダで起きない。クビを言い渡した球団に対して、ノムさんがとった行動はだね……脅しだよ、脅し[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]ええっ! 脅しぃ!? どういうこと?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]ノムさんにはプロにしがみつかなきゃいけない理由があるでしょ。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]理由?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]だってノムさんがプロに行けたのは、お兄さんが自分の大学進学を諦めて高校に進ませてくれたからだよ? 高校で清水先生が応援してくれたからだよ? お母さんが野球を続けることを認めてくれたからなんだから。そう簡単にはやめられない。だから、ノムさんは球団を脅したのさ[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]り、理由はわかったけど、どうやって脅したの?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]ほら、南海ホークスって言えば親会社が「南海電鉄」でしょ? だから、「「もしここでクビになるようなら生きていけない。クビになるなら南海電鉄に飛び込む」って言ったんだよ。球団側も困り果てて、もうワンチャンス与えてくれることになったんだ。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]すごい執念! でも、よかった![/speech_bubble]
そんな泣きの一回のチャンスをもらった、ノムさんは「このままじゃイカン」と奮起。
砂を詰めた一升瓶を使ったり、鉄アレイを使ったりして身体を鍛え、遠投を繰り返して弱かった肩を克服させようと努めるのだった。同僚や先輩たちが遊びに出かけても、ひとり残って練習に明け暮れた。そして、地道に積み重ねた努力が少しずつ実っていく。なんとプロ入り3年目にして初の本塁打王に輝くのだ。
しかし、ノムさんの野球人生はそんなに収まりよく、順風満帆には進まない。
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]えええ~本塁打王にまでなったのに、まだ何かあるの? [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]だから言ったじゃん。ノムさんは哀愁の似合う選手だって[/speech_bubble]
2年連続二冠王に輝き、日本一なのに減俸。
事件は1964年の契約更改で起こった。
そのシーズンは2年連続の二冠王を獲得し、本塁打王のタイトルも4年連続5度目、打点王3年連続というかなり良い成績で終えていたノムさんは、意気揚々と契約更改へと向かった。ノムさんはお金のことで揉めるのがイヤで、いつもすぐに判子をついて終わらせていた。
だが、この年の契約更改は違った。まさかの大幅減俸だったのだ。
球団社長の言い分は「去年より成績が落ちているから」だった。たしかに前年は52本塁打、135打点で、この年は41本塁打、115打点で成績は落ちている。だが、成績としては充分優れているし、何よりもチームの日本一に貢献したという自負がノムさんにはあったのだ。ここで初めて提示額拒否をした。
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]大活躍して優勝して、タイトルも取ったのに減俸!? 何それ、わけわかんない! がるるるるる [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]痛い! と、当時の南海はお金がない球団だったからね。高給取りでチームの柱だったノムさんを減俸にして、見せしめにして他の選手の減俸をしやすくしたんだろうね。ちなみに納得いかないノムさんは球団社長に聞いたらしいよ。[/speech_bubble]
まったく譲らない球団社長にノムさんは聞いた。
「どうすれば年俸が上がるんですか」
すると、球団社長は、
「そりゃ、三冠王しかない」
とあっけらかんと答えたという。
結局、5%の減額で泣く泣くサインし、契約更改を終えた。
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]え~サインしちゃったの? ノムさん可哀想。。。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]言ったでしょ? ノムさんは転んでもタダじゃ起きないって[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]えっ? なになに(*´∀`) [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]その翌年、ノムさんは見事三冠王になって堂々と年俸をあげてもらったんだ[/speech_bubble]
[speech_bubble type="pink" subtype="L1" icon="puramu.jpg" name="プラムちゃん"]ノムさん、かっけー(*´∀`) [/speech_bubble]
[speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="ore.jpg" name="1453くん"]おっと、少しノムさんばっかり語りすぎたな。というわけで今回はここまで。気が向いたら続きを話してあげよう。[/speech_bubble]