ちょっと驚かさないでくださいよ。
「へえ、凄い事件だったんだな……」
それが事件に関する正直な気持ちだった。だが、それだけだった。まあ、前日の晩にそれを元にした映画を観ているので、「ええっ! 予想外!」ってことなんかあるわけもなく、漠然と思うだけだった。だけど、事件の起こった年月日を観た途端、驚き、マウスを動かす手とモニターを見る目が固まった。
津山事件が起こったのは1938年5月21日。
俺が現場に行ってみようかと予定したのが2008年5月21日。
ちょうど70年目にあたる日だったのだ。
偶然と言ってしまえばそれまでなんだけど、あまりにも偶然が重なりすぎて気持ち悪くなった。普段なら多少不思議なことが起こっても「たまたまだよな」で済ますんだけど、このときは古尾谷雅人の怪演が記憶にしっかりとこびりついていたため、気楽に済ませることができなかった。
なんだ、怪談でよくある「呼ばれちゃった」的な流れは……。もうどん引き。ありとあらゆるものにどん引き。変なタイミングで丑三つの村を借りて観たことも、変なタイミングで現場に行くことに決めてしまったことに対しても、とにかくどん引き。まあ、偶然が重なっただけなんだろうけど、いざ体験してみると薄気味悪いよね。
まとめ
え? 現場には行ったのかって?
いや、結局普通に岡山へ行って、普通に岡山城などを巡って、普通にホテルに泊まって帰ったよ。普通ならこの手の話の流れじゃ完璧にフラグが立ってて、現場に行くんだろうけど、実際はそんな風なことにはならないよ。だって怖いんだもん。ひとりだしね。でも、友達数人で企画してたら、間違いなく面白がった感じを装って行ってただろうな。そうしたら、何か起こったんだろうかね。
あと来年の5月にはちょうど80年目になるから、興味のある人は行ってみてはいかがかしら。