謎のガッケンのお兄さん
たとえば、「ガッケンのお兄さん」がそうだ。
ガッケンのお兄さんは年に1度遭遇できれば良い方で、目的は不明だが、校門付近の祠前で突っ立って映画の割引券を配っているのだ。噂によると、「変な筆箱など筆記用具を売ってる人」らしいが、定かではない。(そもそも、何でガッケンのお兄さんと呼ばれていたのかもわからない)
きっとノルマでもあるのだろう、お兄さんはねだれば、ねだるだけ割引券をくれた。
最初のうちは、いっぱいくれるので喜んでいたのだが、だんだんと、
あれ、この人、いったいどれだけ割引券持ってんだ?
もしかして、無限に割引券が出てくるんじゃないだろうな。
と薄気味悪くなってきて、「もういいよ、ありがとう!」とお礼を言って逃げるように校舎に飛び込んだ。
その日は帰りの時間が怖かったな。まだ突っ立って、割引券配ってたらどうしようって。
でも、当たり前だけど、さすがに放課後まで突っ立っているわけもなく、お兄さんはいなかった。
結局、俺の手元には百枚以上の割引券が残り、「どうしよう」と途方にくれた思い出がある。
なお、記事中の田舎道の写真は、実際に俺が通い歩いていた通学路。ちょっと前に弟が撮ってくれてたのを拝借。