わんぱくたちの賭博場
バトルえんぴつも流行ってたな。
鉛筆の面に「◯に20ダメージ」とか「▲をどくじょうたいにする」とか書いてあって、転がして戦わせるんだけど、あれ、よく出来てたよな。どく(毒)状態になると、専用のキャップをつけて転がしてさ、「10ダメージ」とか「どくけしでなおった」とか書いてあったような気がする。
ちょっと上の子たちはドラクエなんだけど、俺らの代はポケモンのが流行ってた。
ちゃんと「進化」出来るような面も用意されてて、鉛筆の下の方に進化後のポケモンが描かれてたんだけど、鉛筆としても使ってたから、どんどん削れて見えなくなっちゃうんだよね。
おい、マンキーしか見えねえじゃねえか。オコリザルがいねえ! みたいなのがしょっちゅうだった。
あるとき、「低学年の間でもバトエンが流行ってる」ことを聞きつけた、高学年の子たちがバトエンを持ってやってきたことがある。そして、「ドラクエバトエン軍団VSポケモンバトエン軍団」の大会をしようと提案してきた。
面白そうだから、俺ら低学年も乗っかって、昼休みにみんなで頭付き合わせて鉛筆転がしまくったね。きっと傍からみたら、賭博場で賽の目つかって丁半やってる輩みたいに見えたかもしれないな。
結局、わりと僅差で俺らが負けちゃったんだけど、盛り上がったな。
「またやろうぜ」って高学年の子たちが言ってくれたんだけど、主催的な子が途中で転校しちゃって、2回大会は幻になっちゃったんだな。
子どもの頃って、突然そういう別れ方があったのを思い出して、ふと寂しくなった。