とうとう見つけた! 鎖場!!!
いったいどれくらい歩いただろうか。
よくわからないが、その瞬間は突然訪れた。
歩いていて、ふと右手側に「鹿よけのネット」が途切れていることに気が付いた。そして、そっちの方向に何気なく視線をやると、そこに鎖場を発見したのである。
想像ではもっと大きく広い場所だったため、心底驚いた。(俺はこういうファーストインパクトを大事にしたいため、あまり下調べをしないのだ)
とにもかくにも見つけられたのだ。見つけたら登る!
とりあえず100均で買ったグリップばっちりの手袋をはめ、鎖のわっかに手をかけて登っていく。だが、登り方がいまいちわからず、最初のうちは腕力にまかせて登っていた。
ところが、だんだん届く範囲の岩場に足をかけないと難しくなっていき、やがてそれもツルツル滑って不可能になっていった。とくに雨に濡れており、履いているトレッキングシューズもまるで役に立たない。
中腹くらいまで登ったところで一瞬立ち往生。
ちょっと考え、やはりわっかに足をかけながらじゃないと進めないとなり、ゆっくりわっかを使いながら登っていく。しかし、想像以上に高さがあるな……。落ちたら終わりだな……。なんて考えていると、「そういや俺は閉所恐怖症のうえに高所恐怖症だったな」と思い出してしまい、体がぶるぶる震えた。
足をかけられるポイントを見つけたので、そこまで登って一旦休憩。
はたして俺は無事登り切り、また、降りてくることができるのか。
つづく