前回は森陶器にて、美しいコーヒーカップ棚に圧倒されたり、タモリさんを発見したりと初めて大谷焼をじっくり堪能した徳嶋ダイスケ。当初の目的であった、「食器を探して買う」を終えたのち、店外を探索してみることに……。
店を出ると木陰のトンネルがあった。
お店を出てみると、突き刺すような真夏の日差しがおそってきた。だが、目の前には木々で覆われ、木陰になったようなルートがあった。どうやらここを通れば、少しは直射日光を浴びずに済みそうだ。
それに明らかにこの先に何かがあるっぽい。俺は額に汗を浮かべながら、この木陰のトンネルを歩み進むことにした。
まるで五右衛門風呂のような大きなサイズの甕(かめ)が、そこら一帯に置いてあり圧巻だった。
「でっけーなあ」「いっぱいあるなあ」と驚きながらも進んでいくと、
何やら中に入れるところを発見。
水琴窟(すいきんくつ)
中は洞窟のようになっており、何やら座ってよさそうなベンチなどが並べてある。
ん? 何か文字が書いてある。なになに……。
水琴窟の聞き方 腰をかけ目をつむり 耳に神経を集中して下さい
と書いてある。
ちなみに水琴窟とは……、
日本庭園の装飾の一つで、手水鉢の近くの地中に作りだした空洞の中に水滴を落下させ、その際に発せられる音を反響させる仕掛けで、手水鉢の排水を処理する機能をもつ。水琴窟という名称の由来は不明である。
Wikipedia水琴窟より抜粋
書かれている通り、ベンチに腰を掛けて目をつむる。すると、「リン……リン……」みたいな小さく、でもよく響く心地いい音が聞こえてきた。
ちなみにこの水琴窟内は、陶器のようになっていて、触り心地も売っていた陶器のお茶碗によく似た感じだった。つまり巨大な陶器のお茶碗の中によそわれたご飯を疑似体験しているような感覚だ。
心地いい音色で少し納涼を楽しんだあとは、ふたたび外へ出て探索。
甕と植物と生物
巨大な甕にいっぱいの水と蓮。この組み合わせの何と癒されることか。
大谷焼の何たるかは何も語れないけども、俺の感じたことは、「素晴らしい和の文化なんだけど、決して和だけにおさまる文化ではない」ということだ。甕のなかで青々と生命力を発揮する蓮の様子などは、モネの睡蓮を思わせるし。どことなく洋風の匂いも漂わせているのも魅力的だ。
それから写真では綺麗に撮れなかったんだけども、水の溜まった甕を覗き込むと、数匹のオタマジャクシが元気に泳ぎ回っているのも見かけた。やがて大きく育ち、カエルになった彼らがげろげーろと言いながら、蓮の葉っぱの上にちょこんと乗っかっているような可愛らしい様子も楽しめるようになるんだろうな。
(ただ、水が日光で温められ、お湯になっていて心配ではあるな)
それにしても暑い。
7月に入ったばかりだというのに、もう酷暑だ。恐ろしいほどの日射が俺をつきさしてくる。(まったくの余談であるが、俺はこの翌日以降しばらく熱中症で点滴が必要な状態に陥ってしまう)
森陶器さんにて陶器の魅力を十二分に味わったあとは、いくつか他の大谷焼のお店に向かうことになるのだが、それはまた別のお話。
それでは今回はここまで。それではまた、したらなー。