ちょっと思うところあって、久しぶりにドライブに出かけた。
愛猫たちと出会った、掘割峠の展望台まで愛車・鉄の棺桶3号を走らせ、車を停める。
貯まりに貯まった小銭を消費するかのように、自販機に投入して缶コーヒーを1本買った。ほどよく冷気が漂う12月。もちろん、あったか~いヤツである。
缶コーヒーを両手で包み込むように持って、その温もりにひと時の安らぎを覚えた。
狭い駐車スペースを見渡すと、3年前に、まだ野良だった頃の愛猫たちの幼い姿を思い出す。
ふと、澄んだ冷たい空気を吸い込みながら、目をつぶる。
やらなくてはならない諸々が脳裏に、まぶたの裏に、耳朶に蘇ってきては消えていく。
あれも、これもと、急いては事をし損ずるわけで、かといってダラダラ過ごしていても事をし損ずるわけでもあって、その塩梅が難しいなと心から思った。
あたたかい缶コーヒーを開け、ぐびっとひとすすり。
温かで、甘ったるい微糖の珈琲が運転に疲れた体に染み渡る。缶コーヒーを飲むのは、随分と久しぶりな気がするが、たまに飲むと、ちょっとしたご褒美みたいでありがたみがあるな。
酷使した目を癒すべく、展望台からの景色を眺めてみる。
12月だというのに、紅葉が色濃く残っていて美しい。思わず笑ってしまう。
空気が澄んでいるためか、いつもよりも町並みもくっきり明瞭に見える気がした。
真ん中を流れる雄大な吉野川も、巨大な中洲・善入寺島も、故郷・吉野川市に並ぶ家々も、名前も知らない山々も、何もかもが明瞭に見えた。
見渡す景色ほど、行く末も明瞭に見えたらいいのだが、なかなかそういかないのが現実のようだ。
さて、もう少し休んだら、ゆっくりいつも通り過ごしてみるか。
それではまた、したらなー。