これは、人生初ライブ参加の全記録である。
※ライブ内容はお殿様直々に緘口令が敷かれているため断片的かつ俺の心情のみとする※
田舎者、上京する!
2016年11月22日、あのビートたけしの「お笑いK(かつら)G(ガンガン)B(ばらす)ライブ」を観に行ってきた。
舞台は世田谷区民館。四国に育った俺からすれば、会場がどこにあるのかさえ漠然としていて、「世田谷といえば磯野家が住んでた辺りじゃなかったかな」くらいの認識しかなかった。飛行機を降りて、どの電車に乗り、どこをどう歩いていっていいかもよくわからない有様だった。
ともあれ幸運にも何とかライブが始まる前に到着した俺は、長蛇の列に並んで物販ブースを探索。もうすでに歴戦の勇士とも言えるビートたけしファンの熱気で会場は盛り上がっており、ライブ初心者である俺を圧倒。
ちなみに販売されていたのは、事前に発表があったとおり、「オリジナルTシャツ」「ピンバッジ」「手ぬぐい」「金言集」などだ。大行列に並び、なんとかかんとか欲しかったものをひと通り入手!
詰めかけた多くのファンたちが、100円玉を握りしめ、生まれて初めて駄菓子屋に駆けつけた子どものように目を輝かせているのが印象的だった。
いかにも紳士、淑女という雰囲気の大人たちを、一瞬にして童心に帰らせることのできるお殿様の凄みというのを、ライブ開始前に突きつけられたような気がした。
田舎者、葛藤して不安になる!
これは凄いところに来てしまった――。
そして、
俺がここにいていいのだろうか――。
そんな思いが渦を巻き始めていた。正直言って、ファンとしての年季が圧倒的に違うのだ。ビートたけしのオールナイトニッポンが開始したのが1981年だから、俺は生まれてすらいない。何だったら親父とお袋が出会いもしてなかった頃の話なのである。
だから、俺は何も知らないのだ。「フライデー事件」も「オートバイ事故」も「たけしの挑戦状」も何もかも。
諸先輩方に教えられて初めて「えっ、歌を歌っていたの!?」と驚いたくらいだった。
おいおい、場違いじゃねえか。俺、浮いてるんじゃないのか?
募る不安。もちろん、予習はしてきた。
名作「浅草キッド」も「金言集」も、他にもたくさん読んだし、Twitterでお世話になっている方々から色々と教わったし、CDアルバムだって買って聴き込んだ。真偽は定かではないが一応Wikipediaもひと通りもふた通りも読んだ。映画も観た。
しかし、所詮付け焼き刃だ。密度の濃い本物の前ではまるで無力なのだ。軟弱で、すぐに刃こぼれするようなものでしかない。自身の薄っぺらさを改めて痛感した。
目眩を起こしながら、席に着く。内心びくびく。ビビりまくり。
元来人見知りなので、極力誰とも目を合わさないように努め、出来る限り無表情で会場内を何ともなく見回してみたり、何も考えていないのに唸ってみたりしてライブの開始を待った。正直なところ、この段階では川柳のことを完璧に忘れていた。何も始まっていないのに圧倒されていたのだ。
そして、心の拠り所であるTwitterに目をやると、日頃仲良くしていただいているフォロワーさん方からメッセージなどが届いていることに気づく。
見つけ出していただき、感動のご対面。様々なお土産をいただき恐縮につぐ恐縮。感謝感激である。
ライブ開始までは、皆で写真を撮ったり、スタンド花を眺めたり、友達が増えたり、買ったグッズをガン見したりして過ごした。しばらくすると開場となり、いただいたチケットが示すとおりの席につく。最前列。こんな距離でライブが観られるのかとしばし呆然。
川柳グランドチャンピオン決勝進出者7名が並んで座っていたわけだが、皆、実に穏やかな表情をしており、とても優しい方々で心底ほっとした。多分、「この人があの川柳考えた人だよ」と言うと、「まじで!?」とリアクションされること間違い無しのナイスガイの集まりだった。もちろん、俺も含めてと言っておこう。
そして、ライブ開始!
それまでとはまったく異なる熱気が会場全体を覆い尽くしていった。
箝口令により、ライブの具体的な内容は割愛する。ただ言えることは心地良いほど過激で、とてもテレビでは難しい否無理だろうという内容で面白かった。
そして、あっという間にライブが終わった。余韻に浸りつつ、仲良しフォロワーさん方と再結集からの飲み会。正直言うと、とてつもなく楽しかったのは覚えているのだが、ほとんど記憶がない。まあ、楽しいお酒のときには記憶がぶっ飛んで、「楽しい」「嬉しい」というシンプルな思い出だけが残る構造なので気にしない。ただ、お金を支払ったかどうかは心配になって、一応確認してみると「多分、払っているだろう」とのこと。
会員で良かったなと思うことがいっぱいあった。とてつもなく面白いライブを観られたこともそうだし、毎月盛りだくさんなコンテンツを楽しめることもそうなんだけど、やっぱりたくさん良い友だちが出来ることが一番良かったんじゃないかと改めて実感した。大袈裟でもなんでもなく、とにかく幸せな要素が確実に増えた。
だから、俺はビートたけし氏をはじめとするお笑いK(かつら)G(ガンガン)B(ばらす)に関わるすべての方々に感謝が尽きない。
今年の9月にライブをするらしい。ぜひ参加したいところだ!
※この記事は2016年11月に更新していたものに、加筆訂正をしたものである。