怒り心頭。そして、葛藤。。。
怒り心頭の僕は携帯電話を取り出し、ハンバーガーショップに文句の電話を入れようとした。
だが、一抹の不安が頭をよぎり、僕はボタンを押す指をとめた。
なんて文句を言えばいいのだろう。
「チーズバーガーにハンバーグが入っていなかったのですが!」と声を荒げて言えばいいのか。
僕が間抜けみたいに思われないかな。よくよく考えてみれば、チーズバーガーにハンバーグが入っていない確率なんて、そんなに高くないだろう。
そんな低確率の悲劇に遭ってしまった僕の運が悪いのでは……。
いや、弱気になるな。
どう考えたって僕は悪くないじゃないか。何を弱気になる必要があるのだ。堂々と言えばいい。
「買ったチーズバーガーにハンバーグが入っていなかったのである!」
このように言い切ってやればいいのだ。けれど、大層な言い方をすれば、余計に間抜けな哀愁がついてまわるような気がする。
じゃあ、腰を低くして――。
「あの~チーズバーガーにハンバーグが入っていなかったのですが……」
駄目だ!
こんな気弱な態度を見せたらアルバイト店員たちに舐められてしまうではないか。