怪談の名手・稲川淳二の思わず笑った怪談話
たとえば、超有名どころでいうと、あの稲川淳二にもそういったものがある。こんな話だ。
テレビの撮影か何かで、スタッフ数名と古い歴史のある温泉旅館へ行った。
すると、そこの女将さんが「うちの温泉には出るんですよ」と教えてくれた。何が出るのかというと、真夜中に温泉から「つめてぇよ~、つめてぇよ~」という幽霊が出るのだという。
それを聞いた稲川淳二たちは、びびって温泉に入らずに帰ってきた。(完)
という話だ。初めて聴き終えたときに、「あれ?」と思ってすぐに2,3回聴き直したもんね。
だって、女将さんに話聴いただけで終わっちゃってるんだもん。
ちゃんと聴きなおしたあとに改めて、「幽霊に出会ってねえじゃねえか!」「そこは『どれ、ここはいっちょ肝試しがてら見に行こうじゃないか』ってやつがいて、『やめときなよ。○○ちゃん。やめといたほうがいい』って稲川淳二に止められたにもかかわらず行っちゃって、そいつが、翌日温泉で気を失ってるか、ガタガタ震えてるのを発見されるパターンじゃないのかよ!」って心の中で、思ったもんね。
でも、純粋に怖い話のつもりで聴いてるところに、完全に予想外の展開に笑ったもんな。
一流のピッチャーが投げる、絶妙なタイミングでのチェンジアップってこんな感じなんだろうと思ったな。
それから、次で紹介する「若頭の女に手を出して、山に埋められそうになる話」も素晴らしかった。

