周囲を探索して、ベッドもセッティングして、あちこちチェックして、一旦ベッドで横になっていると、カフェにやってきていた若い女性たちが廊下を歩きながら喋っているのが聞こえてきた。
「ここってさ、めっちゃ怖くない?」的な話をしていて、そのうちにひとりの女性が多分スマホか何かで引っ張ってきたんだろうね。「本当にあった怖い話(ほん怖)のテーマ曲(エンドレスリピートver)」を爆音で流し始めた。
てーれれれーれー てーれれれーれー
ゲラゲラ笑いながら歩き去っていく女性たち。
残された俺はベッドに寝転んだまま、
「ふざけんじゃねえ! 俺は(多分)今日ひとりでここに泊まるんだぞ! 何怖い感じが始まりましたよ、ほん怖的体験のはじまり、はじまりーみたいな感じにしてくれてんだ、この野郎」
と思いながら、こっそり持ち込んでいた缶ビールを空けた。