
そして、鎖場からの帰り道。どういうルートでいこうかと話し合いになり、とりあえず来た道を戻るのではなく、そのまま行場コースを下って、ぐるりと刀掛の松に戻るルートを選択。
これがなかなか、いや、かなりハードな帰り道となった。
ちょっとはしゃぎすぎて、体力が消耗していたこともあり、一歩一歩の道のりが自分の全体重を持ち上げる大変な作業のように思えて堪えた。
だが、我々は過去の経験から大事なことを知っていた。
それは一歩一歩前に進んでいけば、必ず目的地にたどり着けるということだ。剣山に挑むたびに噛み締める事実である。

こういうヒントを絶対に見落とすまいと集中しつつも、道中の景色を楽しみながら、肩で息をしながら進み続けた。

途中、標識を発見するも何も書かれていない、のっぺら標識があったのは何だったのだろう。裏も何も書かれておらず、気になったが、このときは立ち止まって考えている余裕はなかった。
