わりと最近リメイク的な作品(リゴルモルティスやこちら~)も放映されてたから、再度注目されつつあるのかな、なんて思ってるキョンシー映画。
そのキョンシー映画の金字塔が「霊幻道士」だ。
亜流作品も数多くあって、面白いのがいっぱいだが、やっぱり王道は霊幻道士だと思ってる。
そもそもキョンシーとは何か
簡単にいうと、中国産の吸血鬼みたいなもの。
良くない気みたいなのを吸い込んじゃった、死者がなっちゃうやつで、両手を前に突き出し、膝を曲げずにぴょんぴょん飛び跳ねながら移動する。
また、人の血を吸い、吸われた人もキョンシーになってしまう、みたいなヤツ。
そんなキョンシーを適切に処置するのが、道士と呼ばれる専門家で、この道士が活躍するのがキョンシー映画だ。
ストーリーは大抵、「お調子者がふざけて、余計なことをしたばかりに悪者(キョンシーであったり、ドラキュラだったり)が目覚めて大暴れ。それを道士とその弟子が力を合わせて退治し、最後は燃やして、エンドロール」という展開でわかりやすい構造になっている。
キョンシー映画との邂逅
俺が最初に霊幻道士を観たのは、「1」で、幼稚園児の頃だ。
テッチャンという友達が家から幼稚園に「1」のVHSを持ってきたのを、幼稚園の先生が「せっかくだから、みんなで観ましょう」といって流してくれたのがきっかけだった。
よくよく考えてみれば、就学前の子どもたちに「霊幻道士」を見せる幼稚園ってなかなかファンキーだよなあ。怖いのが苦手な子もいただろうに……。下手したらトラウマになりかねないよね。
女子たちはドン引きしてたのかもしれないが、男子たちはドハマリしてね。その日のうちにキョンシーブーム到来ってわけさ。お札(キョンシーの動きを封じる護符みたいなの。黄色い紙に朱色のインクで文字が書かれている)を真似て作ってみたり、それをおでこに貼ってぴょんぴょん飛び跳ねたり、キョンシーごっこが大流行する。
そこから、俺は親にねだってレンタルビデオ店に連れて行ってもらうようになり、霊幻道士シリーズを観まくるようになったんだ。最初に借りたのは、たしか「5」。ベビーキョンシー対空飛ぶドラキュラっていう邦題サブタイトルのやつね。
何でも1~4までは、かの有名なサモ・ハン・キンポー先生が監督してたらしいんだけど、この「5」からは道士役でお馴染みのラム・チェンインが監督兼主演みたいな形になったぽいの。
懐古、懐古、懐古!
あとあと調べたら粗の多い作品扱いなんだけどさ、就学前の俺にとっては面白くてたまらなかったな。
血のかわりにトマトを吸うベビーキョンシーや、足をくすぐられて爆笑するベビーキョンシーに癒やされたり、西洋感バリバリのドラキュラが吊橋で追いかけてくるシーンに固唾を飲んだり、それをラム先生が巨大な岩で殴って落下させたり、弟子が毒蛇を捕まえるシーンでスローモーションをかけてみたりするシーンを満喫しまくってたっけ。
シリーズで一番好きなのは……「4」かな。コメディ要素とホラー要素のバランスが心地よかった気がする。
「ポテトー、頭を、さげろー」「道長がどうちょうと」「くるっと回って蚊帳の外」「立派なのよ」このあたりのフレーズを聞いて、( ̄ー ̄)ニヤリとした人とは話が合いそうな気がするね。
でも、結局、キョンシー映画っぽいのは「1」だね。ラスボス的なのも、しっかりキョンシーだし。他の作品は妖術使いだったり、ドラキュラだったり、水子の霊の親玉みたいなのだったりするからね。
リゴルモルティスも観たんだけど、ちょっと違うんだ。たしかにキョンシー映画に、和風ホラーの不気味なテイストが混ざり合って物凄く雰囲気も出てて、怖いんだけど、やっぱり違う。
キョンシー映画はきっちりホラーやっちゃったら駄目
少しチープさも残しつつ、よくわからないけど笑ってしまうようなコメディを無理くり詰め込みつつ、でも、やっぱり怖いよなあってなるバランスが醍醐味だと思うからね。本当に怖がらせる映画にしちゃうと、キョンシー映画ファンは「んー」ってなっちゃうんじゃないかと。
その反省点があったのかどうかは知らないけど、去年放映された「霊幻道士 こちらキョンシー退治局」はちょっと、ブームの頃のコメディ+ホラーの匂いがするキョンシー映画になってるっぽい雰囲気があるよね。まだ観てないからわかんないけど。
それにラム道士が出てるのが良いよ。出来れば吹き替えは当然青野武ね。
その要素があるのとないのとでは、出来に格段の違いが出てくるから。具の入ってないオニギリ食ってるみたいなもんだから。腹は膨れても、何か味気ない感じ。(ただ、ラム・チェンインも青野武もお亡くなりになってるんだ。。。悲しい)
とにかく、俺は霊幻道士大好き三十路おじさんなのだ。
それは、この無駄に長い文量を見てもらえれば伝わると思う。