一番楽しいのは食材の買い出し
皆でワイワイ言いながら、近所のスーパーマーケットに向かった。
食材のバリエーションを豊富にするために、出来れば規模の大きなお店がオススメだ。選択肢は多い方がいいから。
また、お互いが何を買ったかわからないようにするためにも、散り散りになって食材を選ぶ際に鉢合わせする確率を少しでも低くキープするのが闇鍋を楽しむコツ。
それにはお店自体の規模が大きい方がいいね。
ちなみに俺はこの買い出しで「梨」「コンビーフ」「ニンニク」を購入した。
阿鼻叫喚の闇鍋祭スタート
雨戸まで締め、真っ暗にした部屋の中央では「醤油ベース」のスープが入った鍋がガスコンロが吐き出す青い炎でグツグツ言っていた。
そこに各々が買ってきた食材を順番に入れていく。最後のひとりが食材を入れ終わる頃には、すでに異様な香りが漂い始めていた。
何人かが咳き込んだ。このあたりから俺は「もしかすると、この鍋はパンドラの箱で、ふたを開けちゃいけないんじゃないか」と思い始めたが後の祭りだ。
闇鍋スタート。
パクッ! 「甘い! 辛い! 酸っぱい! 苦い!」
まずは恐る恐る箸が掴んだ物体を口に入れる。肝心の味は……。
甘い→辛い→酸っぱい→苦いの不可思議な味のグラデーション。思わず咳き込んだ。
真っ暗で互いの表情は見えないが、いたるところで「うぇ……」「うううう」「ゲホゲホ」と聞こえてきたから多分俺と同じ感想を抱いたに違いない。
だが、俺らには最初に決めた鉄の掟「どんな出来であれ完食すべし」があるのだ。くじけずにもうひとくち。
痛い! 何か固くて尖ったものが口内を襲った。
痛いよ~痛いよ~。。。まずいよ~まずいよ~。。。
そんなこんなで半泣きになりながら1杯目を完食したところで、たまらず電気をつけた。そこからは中身の答え合わせだ。
電気をつけて愕然とした。