何よりも新鮮な空気がありがたくてたまらなかったからだ。
それからしばらくピチャピチャと濡れながら、カメラで周辺一帯の写真を撮りまくって過ごした。
大鳴門橋
これが大鳴門橋。
車で渡ることは何百回と経験あれど、この角度から見たのは初めてかもしれない。
こうして見てみると結構大きい。(ちなみに小鳴門橋もある)
だが、しばらくすると再び海中展望室に戻るよう指示が出た。どうやら何かを見るらしい。
一旦甲板から階段を降り、海中展望室へ。
そこでアクアエディの人から「時折、竜巻のような小さな渦が見えることがございます」的な解説を受け、我々乗客は必死に眼を凝らして濁った海中を見てみた。だが、時々「もしかしてこれかな?」と思うような、それらしきものは見えるくらいで正直よくわからなかった。
変な空気になるなか、アクアエディが渦潮多発地点に到着した。
再び甲板へと駆け上がる。なかなか忙しい観潮船である。
ひとりだけ女性が真っ青な顔で手すりにつかまり、うずくまっていた。おそらく船酔いしたらしい。
声をかけようかと思ったが、返事も危うい状況で見ず知らずの男に心配されても迷惑だろうかと思い、そっとしておくことにした。
俺はラブラブな若いカップルとラブラブな熟年夫婦の間に陣取り、渦潮が現れるチャンスをうかがっていた。カメラをかまえ、水しぶきを浴び、左右をラブラブオーラに挟まれ、じっと待った。