11月4日の折り込み広告に、大変興味深いチラシがあるのを見つけた。
それは翌5日に「第41回徳島矯正展IN道の駅いたの」というイベントがあるよというのをお知らせするチラシだった。これまで40回も行われてきた同イベントがどのような趣旨なのかを、そのチラシから得られる限りの情報を頼りにまとめてみると、次のような感じである。
徳島矯正展というのは、徳島刑務所企画部門が企画したイベントである。そこでは、北は北海道、南は九州までの全国各地の刑務所にいる受刑者たちが製作した刑務所作業製品を多数展示、販売するらしい。また、徳島少年鑑別所による性格検査コーナーや文芸作品他パネル展示コーナー、ちびっこ刑務官記念撮影などの枝葉的企画も実施されると書かれていた。
さらに読み込んでみると、どうやら刑務所作業製品の売り上げの一部を犯罪被害者支援団体の活動に助成したり、次の製品を製作するための材料費にあてたりするのが主な目的のようである。
過去に徳島刑務所前の「さしいれ屋」に行ったときの記事は書いたことがあったが、こういうイベントがあるのは全く知らなかった。
「これは面白そうな企画だな」と興味を持った俺は、休みを利用していってみることにした。
もしよさげな商品があるようなら買って刑務所作業製品コーデを完成させてみるのもいいかもしれないと考えながら……。実際、いくつか展示分なのか、販売用のものなのかはわからないが、製品の写真が載っていて、それがなかなか良さそうな出来のものが散見されていたのである。
開催時間を確認すると、11月5日(土)の午前8時30分~午後5時までということがわかった。
そうなると8時20分前後には現場に入っておきたいと考えるのが、俺。学校だろうと社会に出ようと遊びだろうと、早め早めの行動がモットーなのだ。
そして……。
11月5日(土)午前8時20分 到着
まだイベント開始前だというのに、駐車場には多くの車がすでに停まっていた。
そして、すでに刑務所作業製品販売ブースと思わしき、紅白のテントがいくつか道の駅いたのの入口付近スペースに並んでいるのが見えた。さらに「刑務所作業製品」と書かれたノボリがはためいているのも確認できたので、少し早いけど行ってみることにした。
すると、まだレジこそ解禁されてないものの、すでに商品を手に取って眺めているお客さんたちでいっぱいだった。
「じゃあ俺もいろいろ物色しつつ、取材もしてみよ」と思い、比較的お客さんの少なそうなテントに向かった。そこは徳島刑務所のブースだった。
実は、このイベントでは他にも高松刑務所や高知刑務所なども参加しており、それぞれが全国各地の刑務所作業品を販売するようになっているのだ。
今回の個人的な目的としてはやはり徳島刑務所をメインと考えたいため、俺的にはちょうどよかった。
そのブースでは革靴がたくさん並べてあり、サイズも多種多様、ご婦人用のものまで取り揃えてあった。話を聞いてみると、徳島刑務所で作られる革靴などは評判が良く、全国から買い求める人がいるほど人気があるのだそうだ。
「へえ、すげぇっすね。でも、たしかに綺麗に作ってあるし、格好いいんでわからんでもないっす」なんて言いながら、積み上げられた靴の箱を眺める俺。すると、ひと箱だけ半額以下に値下げされ、1300円とイベント開始直前から思い切った値下げ金額の書かれたものを発見した。
「これ、なんでこんな安いんですか?」
何となく聞いてみると、なんでも他の商品と比べて古いものらしく、なぜか売れずに棚にあったものだから、べらぼうに安くなっているのだと教えてくれた。「よかったら履いてみます?」と聞いてくれたので、試しに履いてみることに。
ピッタリだった。
「これ、買います」というと、その場で購入が確定した。いろいろ話を聞いたり、写真撮らせてもらっているうちにイベントスタートの午前8時30分になっていたので、そのままお会計。
ちなみにせっかくなんでもう1足、カジュアルな明るい茶色のスニーカーも買ってみた。こんなにステキな靴たちが2足で6800円とはよき買い物になった笑
いつもニコニコ現金会計を済ませた俺は、店の人(たぶん刑務官の方)から「1000円以上お買い上げの人は、レシート持ってブースの端っこへいくとブルースティックっていう石鹸がもらえる」ことを教えてもらった。先着100名様らしいけど、多分2,3番目くらいに受け取ったように思う笑
それから一旦荷物を駐車場まで運び、愛車・鉄の棺桶3号に積み込むと、ふたたび現場に戻る俺。まだ他にも小物などをみたり買ったりしたかったのだ。
結局、徳島刑務所ブースで「〇」に「獄」と書かれた攻めた小物入れと、なぜか一緒に売られていた「すだちくんとトクシィちゃんの便せん」(30円)を買い、次に高松刑務所ブースへ移動。
そこでは「実はひとつ前のデザインなのだ」という布製のスマホ入れと、お店の人(たぶん刑務官の方)も「格好良くて気に入っている」と太鼓判を押す「獄」と書かれた文庫本サイズのブックカバーを購入した。
他にもいろいろとステキな商品があった。家具なんかもあったんだけど、どう考えても予算オーバーしちゃうのでチラチラ眺めるだけで終わった笑
次に向かったのは、「徳島少年鑑別所による性格検査コーナー」というブースである。
「徳島少年鑑別所による性格検査コーナー」
俺は矢吹丈でも力石徹でもマンモス西でもないので、当然鑑別所に入り、豚軍団を暴れさせて脱出した経験がない。そのため、こういう鑑別所で行なわれるような検査を受けたことがない。なので、とても興味があったのだ。
ちょうど他のお客さんがまだ買い物に夢中で、誰もいなかったそのコーナー。担当のスタッフ(たぶん刑務官の方)が退屈そうに立っていたので声をかけてみる。
「これってもう出来ますか?」
すると、やってきて「できますよ」と言い、近づいてきてくれてルールの説明をしてくれた。
検査は全60個の質問に「はい」「いいえ」「どちらでもない」を選択して、マークシートを塗りつぶしていくタイプのものだった。ちなみにマークシートはこんな感じ。
60個の質問が書かれた用紙は「写真撮らない方が良い」とのことだったので「合点承知の助」しておいた。ルールはきちんと守る男。それが徳嶋ダイスケという男なのである。
で、その方いわく「あまり考えずに反射的に答えていく方が本当の性格が出やすいです」。と言いつつも「あくまで参考ですのであまり結果をお気になさらず」的なこともいっていたな笑
で、5分くらいで全部マークシートを埋めた俺は、ブースの奥にいる別のスタッフの方(たぶん刑務官の方)に塗りつぶした用紙を手渡した。すると、すぐに結果が書かれた青い紙を受け取った。
結果は恥ずかしいので詳しくは書かないけども、非常に繊細で意志が弱く、見栄っ張りであることが端的に書かれていた笑 このテスト結果を鑑みて、今後の生活を戒めようと思った。
そして、性格テストで恥ずかしかった俺は一旦道の駅いたの内へ入ってみることにした。
すると、中でも徳島矯正展の催しがやっていて、危うく気づかないまま帰っちゃうところだったと一安心。中では「ちびっこ刑務官記念撮影」や「文芸作品他パネル展示コーナー」がやっていた。
ただ「ちびっこ~」に関しては、おそらく小学生か中学生くらいまでの子どもたちが対象だろうからスルーしようとした。だが、スタッフの方(おそらく刑務官の方)から声がかかった。
「ちびっこ刑務官記念撮影」
「もしよろしければ、記念撮影していきませんか?」
「え? いいんですか?(俺、今年34歳のおじさんですけど。ちびっこおじさんですけど)」
「ええ、ちょっと帽子や制服はきついかもしれませんが、ぜひ撮りませんか?」
内心撮ってみたかった俺からすれば、「スタッフの方が言ってくれるなら」と「わーいわーいぜひぜひ」となるわけだ。で、子どもサイズ(140センチ相当)のジャケットを羽織り、子どもサイズの刑務官帽子をかぶり、(`・ω・´)ゞ
いい顔してるだろ、肩幅ピチピチ帽子ギュウギュウなんだぜ?
そして、意外とたくさん知らない人たちに見られながら撮られてるんだぜ笑
ちなみに背景は徳島刑務所なんだけど、今入田にある徳島刑務所ではなく、その前には別の場所にあったらしいの。(それを聞いたんだけど、ピチピチ制服を破らないように気遣いながら聞いていたため忘れてしまった)
記念撮影が無事終わったら、すぐそばで「文芸作品他パネル展示コーナー」もやっていたんでフラフラと入っていってみる。
「文芸作品他パネル展示コーナー」
ここでは外のブースでは置いてない、また凝った造りの家具なんかが多数置いてあって、売られていた。これまた見事な出来栄えでね、思わず見とれてしまった。
すると、ひとりの刑務官の人に声をかけられてね。いろいろとお話を伺ったよ。
こういう家具は、まず刑務官からの指示で受刑者たちが作るんだけど、作る前に説明があり、その後、こういうのを作る職人みたいな先生みたいな人がお手本を見せるらしい。そして、造り始めるという。
いやいやお手本があるにしたって、教えてくれる人がいるにしたって、そう簡単にこんな立派なものは造れないよね。
あとまったく関係ないけど、その刑務官の人が「あれ? 誰かに似てるなあ」と思ったら、道の駅どなりのちーかまさんそっくりだったの。マジでそっくりで内心この日一番驚いたといっても過言ではなかった。
で、同じフロアには受刑者たちが書いた短歌や俳句、書や絵も展示してあって、それもかなりの力作ぞろいで驚いた。それらも許可を得てから写真撮らせてもらって、こうして載っけているわけさ。
まとめ
結局のところ滞在時間は約1時間強といったところかな。
でも、かなり充実した時間を過ごせたと思っている。たとえば刑務官の方と話せたことも大きな収穫だと思っているのよ。というのも、偶然なのかもしれないけど、刑務官の方、皆さんめちゃくちゃ気さくで優しくて、何より饒舌で聞いたこと凄い丁寧に答えてくれるんだ。
ほら、普段なかなか会う機会ないじゃない? だから会えて言葉を交わせただけでも行った甲斐あったなと思ったんだけど、いろいろ質問できたのも大きかった。
あと刑務所作業品に対して「これめちゃくちゃ格好いいっすね」なんて素直に感想いうとさ、なんか凄い嬉しそうにしてるわけ。まるで授業参観で我が子を褒められた家の人みたいな感じ。
そういうのを見てると、ある種、家族みたいな感覚みたいなのと、それと同時に戒めなければならない厳しい学校の先生みたいな感覚とをバランスよく持ち合わせてないといけない大変な仕事なんだなと漠然と思った。
また俺が買ったものを帰宅後撮影しまくったので、それを並べて載せて今回の記事をおしまいとする。
ちなみにこの記事をこの時間にアップしたのは、まだこの「第41回徳島矯正展IN道の駅いたの」が開催中の時間であるからだ。ひとりでも多くの人にこのイベントに参加してもらって、いろいろと感じて欲しいと思ったからだ。
というわけで今回はここまで。それではまた。したらなー。