俺、徳嶋ダイスケは現在34歳。今年の11月には35歳になる、立派なおじさんである。
俺の人生設計では、35の自分は「マンダムを愛用し使いこなし、気心の知れたバーのカウンターでブランデーを嗜むダンディズム全開の激渋大人になっている」はずだった。
そんな俺が、まさか恐竜の格好をしてライバルたちと数十メートルくらいを駆け抜ける愉快にも程があるレースに出走することになろうとは思いもしなかった。
だが、愉快をこよなく愛し、天性のお調子者体質もあり、「よし、参加してみよう」と思ったので即
ティラノサウルスレース
そのレースの名は「ティラノサウルスレース」といい、今回徳島県では初となる、三好市で行われる「ティラノサウルスの着ぐるみを着て、レースで爆走する」イベントのことである。
このレースに参加するには事前にオーダーフォームで予約?をしておき、レースの際に着用するティラノサウルスの着ぐるみをAmazonなり何なりで購入し、エントリーナンバーをプリントアウトしたA4用紙を準備してから、舞台となる徳島県三好市の吉野川運動公園に向かう。
そして、当日は参加費500円を支払うのだ。
ちなみに、大成獣(60歳以上の男女)、成獣オス(中学生以上)、成獣メス(中学生以上)、幼獣(小学生以下)とプレイヤー分類がなされており、俺は成獣オス部門に出走することになった。
このレースに関する情報提供者は、弟・マー。
マーいわく「ホンマに参加するとは思わんかった」とのこと。
ひとりで参加しても、その雄姿を撮影する人がいないため、嫌がるマーを強制的に同行させることに成功した。
徳嶋、優勝するための戦略戦法を考える
レースに参加するからには全力で優勝を狙わなければ面白くない。激戦が容易に想像できる成獣オス部門。中には屋敷要氏や福本豊氏ばりの俊足……いや、わかりにくいか。リッキー・ヘンダーソン並みに足が速い超人も参加しているかもしれない。優勝するのは簡単なことではないだろうな。
だが、このレースのポイントは「ティラノサウルスの着ぐるみ」の着用だ。
ティラノサウルスの特徴は大きな体に対して、前足が極めて小さく短いこと。つまり普通に走るように腕を振ることが難しくなる。腕の振りは足の速さに直結するわけだから、いつものように走れるとは限らないってことになるのだ。
とどのつまり、この「ティラノサウルスの着ぐるみ」の着用こそが全員に平等に与えられたハンデということになり、レースを盛り上げる要因になっていると考えるわけ。となると重要になってくるのが、いかに着ぐるみ状態で速く走るかだが……正直、そんな戦法はこの世に存在しないと思われる。
読んだことはないが、孫子の兵法にも宮本武蔵の巻物にも載ってないだろう。
ちなみに、恐竜の着ぐるみを着て行うレースは全国各地であるようで、様々な動画を観てみた。すると、中には着ぐるみの足部分を大胆に切り、両足丸出しの人もいた。なるほど。それはそれで面白い戦い方だ。でも、俺としてはユニフォームはきちんと着こなした方がスマートで格好いいと思うので、着ぐるみに細工はしないことにした。
むしろプレーンな着ぐるみでぶっちぎったほうが派手だもの笑
そして、着ぐるみに細工をしないのには、他にも理由がある。
その理由とは、シンプルに面倒くさいからである。それにティラノサウルスの着ぐるみってね、結構値段すんのね笑 5000円以上すんのよ。どうせ買うなら何か他のイベントごとでも使いたいという至極全うな庶民的発想があるから、そもそも切ることが出来ないんだな、俺には。
結局、細工はせず、プレーンなティラノサウルスの状態で出走することに決めた。
意気込み
参加するからには当然のごとく優勝を狙う。優勝が第一目標だとするなら、第二目標は、誰よりも目立ち、場を盛り上げること。というのも、優勝者と一番盛り上げた人には賞が与えられるらしいのだ。俺のような褒められたがりからすれば、そのどちらかは必ず手に入れたいのである。
褒められたがりの上に欲張りさんでもある俺とすれば、両方を同時に狙っていく。
優勝し、誰よりも場を盛り上げるというのが最高のかたち。最速にして最高。
長らく週刊トクシマ・徳嶋ダイスケとしての活動が完全に止まってしまっていたが、ようやく熱を取り戻せた。まだまだ面白いことに挑戦して、もっと自ら上げていかないといけないなと反省。
そして、面白そうなイベントを教えてくれた弟・マーには感謝せねばなるまい。