お気づきかもしれないが、俺はせっかちなほうである。
すると、クローズドだったのが、オープンに切り替わっていた。内心心躍らせながら、入店。俺以外誰もいなかった。のんびりとメニューを見て、注文した。
このとき注文したのが、「なるちゅるうどん」と「ホットドッグ」だ。
たしかホットドッグはテイクアウト出来る旨の説明をうけて、「じゃあ、うどんをここで食べて、ホットドッグは持ち帰ります」と返事した。それに対して店員さんが、「それなら、お帰りの際に間に合うようホットドッグを作りましょうか」と提案してくれ、「おねがいします」と言ったような記憶がある。
「親切だなあ」と思いながら、うどんを待つべく店内を見回しながら席に着いた。
5分ほど待っていると、「お先にうどんが完成しました」と声を掛けられ、とりに行く。

特徴的な平たいうどん。刻みネギが散らされ、油揚げがたっぷり乗っかって、輪切りのちくわも添えられた、なるちゅるうどん。人生初のなるちゅるうどんに思わず胸が高鳴った。
シンプルで、気取りもてらいもない、素朴な味わいだった。どうして温かい出汁というのは、人を心から安心させるのだろう。体の芯からほかほかと温まってきた。
のんびりうどんを堪能し、出来上がったばかりのホットドッグを受け取って、車に戻った。
運転席に座る俺。その手には、出来立てのほっかほかのホットドッグ。そこで逡巡。

出来立てのホットドッグというのは、抗いがたい魅力があるものだ。時間が経つほど、この100点満点の状態から減点されてしまうわけで……。だが、俺はほんの1,2分前にうどんを完食したばかり。とはいえ、この100点満点のホットドッグは実に旨そうだった。
結局、「食べ物は出来立てが一番旨い」という摂理には抗えず、駐車場で食べることにした。柔らかく、しっとりしたパン。瑞々しいレタス。大きなソーセージ。ケチャップとマスタードたっぷりで、実にボリュームがあって素晴らしい。
こういうのは大きく口を開けて、かぶりつくに限る。旨い。
今思えば、パン作りにおける技法なども、ドイツ兵捕虜(パン屋さん)から伝来された歴史があるので、このパンにも、そういうこだわりもあったのかもしれない。当時は何も知らなかったから、こういう空想も出来なかったな。(まあパンのタイプが異なるから違うのかもしれないけど)
そういえば、ホットドッグのドッグは、ソーセージを意味する俗語らしい。Wikipediaに書いてあった。
この直後、ちょっとした事件が起こった。