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【雪化粧】GW極寒の剣山登頂冒険記【不動の岩屋/行場コース】

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記念すべき平成最後の更新らしく、少し気合いれた記事をごらんあれ。


GW初日の午前10時。
俺は季節外れの雪山と化した霊峰剣山を登っていた。



遡ること30分前

俺は鼻歌まじりで剣山登山に向かっていた。

GWは剣山に行こうと決めていたのだ。毎日指折り数え、とても楽しみにしていた。

前日、いやリフト乗り場付近までは、新緑満載の陽気な山登りをイメージしてワクワクしていたんだ。

ところがリフト乗り場に近付くにつれ、奇妙なことが目立ち始めた。周辺の木々が軒並み白く、しだれていたのだ。



最初は「直前のどしゃ降りで濡れたのが白く見えてるのかな」と思ってたんだけど、違った。完全に雪だった。枝葉に積もった雪が木々をしならせていたのである。

だけど、幸い道は凍結していなかった。

この段階で自分がイメージしてた新緑の、ぽかぽか陽気の楽しい山登りは幻だったことを悟った。同時に極寒の山登りに対する覚悟を決めた。

駐車後、警備員さんに「寒くないで?」と心配されつつ、「はい、大丈夫っす」と強がりを言いつつ、すぐにチケットを買いに向かった。



そう、ポカポカ陽気を予想していた俺は雪積もる山に入る格好とは程遠い薄着をしていたのである。

吹き荒ぶ極寒の風にガタガタ震えながらリフトに座り、15分。「日を改めりゃよかったかな」と後悔しつつ、リフト利用者にとってのスタート地点へ到着。



極寒。極寒。極寒。
俺以外の登山者、全員防寒完璧!


とりあえず体温上げるべく、コンビニおにぎりを口にしたんだけど、寒すぎて顔が固まり、咀嚼しづらいんだ。1個のおにぎり食うのに5分かかった。

さて、出発だ。
想定外の雪と言うことで、まずは前回と同じルートで山頂を目指す。

しかし、あれだね。
全然景色が見えないね。。。
(正直寒すぎて、歩くのに精一杯)

でも、画になるものやインパクトあるものは撮影しながら進む。

この木を見てみ。悪魔の杖みたいだ。しかし、どうやったらこんな形になるのか。不思議でならない。



前回も訪れた御神水。今回はペットボトルに汲んで持ち帰ることに。なんでもミネラル豊富な若返りの水だそうだ。綺麗で冷たい水!

「お水、いただきます」
剣山の御神水
寒いのでここでは飲まなかった。

そこから更に上に上がってくと、大剣神社。ベンチに座って休憩、休憩。良縁を結ぶ神社だそうで、カップルが並んで祈ってた。

大剣神社

道中に見えてくるこちら。


前回もほとんど同じ位置から撮影した岩。剣山のネーミングのもとになったらしき岩。剣にみえる?

さらに進み、雪化粧のクマザサを横目に歩いて登ってく。

これクマザサであってるよね?

すると、たちまち山頂へ直接続く階段に到達。何だか前回より早くたどり着いた気がした。めちゃくちゃ寒いこと以外はまるで問題なく、手が霜焼けになったくらいだ。

剣山本宮



山頂の社



東日本大震災 鎮魂 復興祈願



写真では伝わらないだろうけど、山頂全体は凄まじい冷気を伴う強風にさらされ続けていた。実際何度も吹っ飛ばされそうになった

また、目に雪の粒みたいなのが当たって涙が出たんだけど、その一瞬まつ毛やらまぶたやらがくっついたような気がしてヒヤッとした。

剣山山頂

何、凍っとんねん。


当然ここも雪化粧。他の登山者たちも寒いのと風が強いのとで、さっさと記念撮影してすぐにいなくなっていく。寒いから無理もないね。(薄手のパーカーの俺は意地でベンチに座って、小走りで去ってく防寒完璧集団の背中を見送りました)

寒いし寒いしめちゃくちゃ寒いので降りてみることに。下りは比較的リズミカルに進んでいけたんだけど、そこで魔の囁きが聞こえてきた。

「おい、いいのか? これじゃ前回と一緒だぞ? もしかして雪で違いが表現出来てるつもりか? 違う、違うぞ。それは単なる気候の違いで、お前の表現は何ら変わっちゃいない。いいのか? ガッカリされるぜ? 体のはりかたが甘いぜ」

その魔の囁きが、このあとの俺を文字通り転落させるのだが、それはもう少し後の話である。

予定変更 リフト行き→行場コースへ

魔の囁きを気にしつつも、ゆっくりゆっくりリフト乗り場に向かっていたんだな。

ところがこの標識見つけちゃったんだわ。行場コースへ促す標識を!

行場コース

実を言うと今回は行場コースにいってみようと思ってたのよ。結構ハードって聞いてたから、ヘッドライトとかヘルメットとかいぼいぼついた軍手も用意して持ってきてたからね。

ちなみに、行場コースとは、 最も難関と言われる「行場・不動の岩屋」を通るコース でかつては修行のために使われていたと思われるもので、「お鎖場」「胎内くぐり」「蟻の塔わたり」などがあるらしい。

なかでも「不動の岩屋」って言うところが気になってた。はしごで降りてく洞窟らしいんだけど、そんなの絶対気になるよね。

でも、ただでさえ道のりが過酷だって聞いて日和ってたのに、さらに雪積もってんだもん。「また夏に挑戦しよ」って思いながら降りてきたところにこの標識。

しかも、よく見りゃ距離がしれてる。(ように思えてしまった)
次の瞬間には矢印のさすルートを歩き始めていた。薄手のパーカー野郎は即断野郎でもあるのだ。

ところが、数字(距離)は大したことなくても、道のりは険しかった。(軽く迷いかけた)イメージとしてはU字型のルートで、行きも帰りもキツいみたいな感じだ。

不動の窟までの道中、「つるの舞」ってとこを見つけたんだけど、何がつるで舞ってるのかよくわからなかった。

どこから見れば良いのかもわからなかった笑

でも、ちょうどいい休憩になったかな。

そして、文字通り山越え谷越えしてたどり着いたぜ、不動の岩屋。

でも、ネットでみたのと何か違う気がする。

近付いて覗いてみると、何か岩みたいなのがあって梯子を降りきることができない。

「なんじゃこれ。誰や、岩置いたん」と触ってみると冷たい。岩みたいな氷の塊だったのだ。とはいえ岩でも氷でも先に進めないのに変わりはない。

「また夏に~」

そう思って踵を返したタイミングだった。背後で何かが落下し砕けるような音が聞こえた。あわてて戻り、再び覗き込むと岩みたいな氷の塊が下で砕けて散らかっているではないか。

ピンぼけ御免


「これは、『まあ入れよ』ってことか」と剣山に招かれたと勘違いしながら、いぼいぼ軍手とヘルメット、ヘッドライトを装備して梯子を降りた。

つるつる凍ってるのイボイボ軍手が活躍

中はさらにヒンヤリ。足元は水浸し。下から冷たい空気が舞い上がってくる。

奥から水が絶えず流れている

暗くてよく見えないが奥からずーっと水が流れてきている。

何でもここに流れ出ている水は、水源がわかってないそうだ。

そんな不思議な水を眺めつつ、何気なく頭上を見上げてみた。すると、

極太の氷柱。上からポタポタ水滴が落ちてきていた。

さらに奥に進めそうに思えたんだけど、挟まって動けなくなったら怖いので、さらなる探索はまた違う機会に。(梯子を降りて洞窟に入っただけで満足したのである)

まだ体力に余裕はありそうだ。もう少し進んでみよう。
メインの不動の岩屋に入れて、ご機嫌な俺はさらに行場コースの奥へと歩いていくことにした。

その判断が自分を恐怖のどん底に叩き落とすとも知らずに……。

岩も鼻を垂らすほどの寒さ

とくに目的地も決めないまま進んでいたが、ある程度進んだ所で「このまま進むと再び頂上へ向かってしまう」となってしまった。さすがにもうしんどくなっていたので、折り返すことに。

来た道を延々と歩く。

一度通った道をもう一度歩くのは、なかなか精神的にキツいものがあった。

行き道は険しくても「ここを頑張ればご褒美があるぜ」と自分を励まして進むことが出来るけど、帰りはそうではない。

ただ無事で帰ることのみを目指して歩くのだ。

でも、それじゃつまらないので少しだけ寄り道をしてみることにした。

古剣神社、両剣神社というのを見に行ってみることにし、単調な帰り道を彩ってみることにしたのだ。それがものすごく遠回りになるとも知らずに。。。

※以下順番の記憶がさらに曖昧になっております。

古剣神社

多分これが古剣神社だと思われる。
そのすぐ近くには石づくりの何かが祀られていた。

さらに上を見てみると、気になるものを発見した。

多少の坂の上に穴ぽこ。冒険に対する好奇心メーターが振り切れていた俺は、「あの穴の奥には何が見えるんだろう」と思い、雪だらけの坂道をよたよたと登った。

あと少し、というところまで来たところで踏ん張りがきかず、ひっくり返り頭から滑り落ちてしまった。(幸い雪がクッションとなり、ゆっくりだったので無傷)

結局、何度か挑戦してみたが登りきれず断念することに。一体何だったんだろう。。。

三十五社?

山の神様を祀っているらしい。

両剣神社

何があったんだ、ってくらい荒れてしまっている。

このあたりまで来ると息も絶え絶え。カメラでおさめるのも大変になるほど疲れが蓄積し、足の上げ下げが苦痛に思えるようになってきていた。

とりあえずこれ以上先に進んでも仕方がないと判断し、またもや来た道を戻り、一旦「行場コース」への方向を指す標識があったところ(枝折神社刀掛けの松があるあたり)まで戻ることにした。

記事にしてみると、まるで一瞬で戻ってこられたように思えるが、


実際には何度も挫けそうになり、「もう諦めて洞窟で暮らしていこうか」と思い始めるくらい追い詰められた。


時刻は13時半。剣山に入り、すでに3時間半が経過しようとしていた。おにぎり1つでよくここまで動くことができたものだ。

とりあえずベンチに腰掛け、和風ツナのおにぎりを食べてエネルギー回復。

このあたりになると、天気も少し良くなり日がさしていてなっていたので、最初のように旨くおにぎりが食べられない、飲み込めないという事態ではなくなっていた。

おにぎりを食べ、少し元気を取り戻した俺はリフト乗り場を目指して山を下っていった。

しばらくするとリフト乗り場の屋根(?)が見えてきた。探し求めていた人工物との再会に、正直この日一番の感動を覚えた。

チケットを見せ、リフトに座る。

自動的に下山出来るリフトと、管理する全ての人々に心底感謝しながら下っていった。

まとめ

本当にキツい道のりで、ぶっ倒れそうになったものの総合的に考えてみれば、とても満足のいく登山になったと思った。

こういう「実は雪が積もってましたー」くらいのイレギュラーでもなければ、雪だらけの剣山なんて来なかっただろうし、体験も出来なかっただろう。

剣山の厳しい冬の表情がみられて良かった。

ただ、帰ってきて調べてみたら、行場コースの大半が雪に埋もれていて見えず、体験できなかったのは残念極まりないことである。

このリベンジは夏にしたいと思う。

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