大きめのノレンに囲われた厨房側から入る感じになって、そのノレンの隙間から、おそらく大将と思われる男性の声で、
「いらっしゃい」
と穏やかに迎えてもらえた。
すっかり安心した俺は短い通りを歩いて、コの字型のカウンターの西側に腰掛けた。コの字の真ん中で店員さんがくるくる忙しなく働くスタイルのお店のようだ。
メニューは「中華そば」「中華そば(大)」「めし」の3つのみのようだ。
いろいろなメニューがあって迷うお店も大好きだが、こういう潔さを感じるお店も大好きである。
とりあえず「中華そば(大)」と「めし」を注文した。
ここは先払いシステムで、店員さんに注文した直後にお金を支払う。
しばらく店内を眺めて過ごす。
真新しい店内。内装にこだわったのだろう、オシャレな印象を受ける。
女性1人でも入りやすそうな雰囲気ではあるが、俺が入った時点では100%男性客で賑わっていた。
すると、「おまちどうさまでした」。
先にやってきたのは「めし」だった。
めし
見ると昆布が乗っている。ほら、おにぎりなんかに入れる、あの昆布だ。
俺はこれが大好きでたまらないから、メインのラーメンが来る前からこのお店が好きになった。
でも、ラーメン屋さんに来て、ラーメンが来る前に「めし」を食うのもアレだ。
ただでさえ俺は親父ゆずりの早食い気質。下手をすればラーメンが来る前に「めし」を平らげてしまうおそれがある。(徳島県では徳島ラーメンの性質上、ラーメンはおかず扱いする場合が多い。無論例外もあり)
ほどなくして「中華そば(大)」がやってきた。