コロナの「コ」の字も聞かなかった、昨年末だった。
何気なく立ち寄った、徳島県内某海岸探索時のことだ――。
実を言えば、駐車場に車を停めて、降りた段階から俺の「ネコネコセンサー(鼻)」がその気配を敏感に感じ取っていた。
ああ、いるな……。
と。
辺りを軽く見渡すと、植込みに隠れてコチラをジッと観察している子とバチィッと目が合った。あまりの可愛さに思わず笑ってしまったのを覚えている。
こういうとき、俺はジッと彼ら彼女らを見つめ返しつつ、ゆっくりとしゃがみ込む。ときにアクビをしながら。ときに話しかけながら。
すると、大抵寄ってくる。おそらく俺のことをチュールかマタタビか焼き魚だと思っているのだろう。のそのそと、目をハートにしながら、ゆっくりと――。
こうなったら「ネコ寄せの術」はすでに炸裂しているので、永久に俺のターンである。(突然変に素早い奇抜な行動さえとらなければ、ネコ寄せの術は簡単には解けないのだ)
ゆっくり立ち上がる。
俺の匂いを嗅ぎながら、
ストン。寄り添うように座ったネコさん。