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【兵庫冒険録】徳嶋ダイスケ一行神隠しに遭う【大中小トリオ】

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いきなりだが、兵庫で神隠しに遭った笑
今回はそんな恐怖体験を書き記しておこう。

前回までのお話は過去記事をご覧あれ。

さて、相変わらず何の写真も撮らなかったため、フリー素材をフル活用して書いてくぜ。

12/29 PM10:15

何故だ。何故こんなことに……?

12/29 PM8:45

友次郎(仮)一家との、それはそれは楽しい一時を過ごした我々、徳嶋ダイスケ一向。友彦の子どもたちも俺たちに懐き始めた頃、宴もたけなわとなり、お開きとなった。

駐車場まで見送りに来てくれた友次郎一家。彼らとの別れを存分に惜しみ、「バイバイ! またな」と我が愛車・鉄の棺桶3号に乗り込む徳嶋ダイスケ一向。

辺りは真っ暗闇。街灯ひとつない。

ドライバーである俺は、多少の不安もありながら発車した。まあ、来た道を戻りゃいいだけだ。それにカーナビもあるし、友達もいるから大丈夫だろ。

そんな風に思いながら、来た道を戻りつつ、高速道路に乗った。

「いやあ楽しかったなあ」
「うん。肉もヤバかったよな」
「旨かった、旨かった」
「そういや目的地は明石駅?」
「うん。とりあえず明石駅で友彦くん降ろしたらええやろ」
「そうやな。ほな明石駅で」
「で、こっからどれくらいなん?」
「だいたい70キロくらい。1時間半くらいはかかるかな」
「そっか」

車中、呑気にバカ話をしながら帰路を進む我々。

「大阪まで100キロなんやな」
「ホンマや。徳島帰るより近いわ」

ある程度高速道路を突き進んだところで、ナビが高速を降りるように指示を出した。一瞬「ん?」とは思ったものの、なに分完全に見知らぬ地である。だから、素直に言うことを聞き、カーナビの示すままにハンドルを切った。

あとになって思えば、これが悲劇と恐怖の始まりだった。

高速降りてしばらく直進。左折。直進。左折。

あれ? これ、元の場所に戻って、また高速乗るんじゃね? 

案の定、我らが乗った愛車・鉄の棺桶3号は何事もなかったかのように高速道路に入ることになった。

今のは一体なんだったのか……。

しかし、多少のイレギュラーは旅の醍醐味。よくあることである。

そんなことが3回くらい続いた。次第に友蔵たちも「ん? なんかおかしくないか?」となりはじめた。

3回目に関しては、もはや「なんかおかしくないか?」というレベルを越えていた。というのも、行きでは全く通っていない謎の工場地帯をぐるぐる走らされていたのである。

※イメージ図です※

ハンドルと仲間たちの命を握る俺は、「こりゃ一体どこなんだ?」状態であった。やがて、友彦くんが「ちょっとナビおかしいかもな」とスマホでGoogleマップを開いて、ふたたび口頭でナビをしてくれることに。

やがて、謎の工場地帯を抜け出し、新たな見覚えのないルートに出た我々。しかし、長時間工場地帯を走らされていたため、我々も感覚がおかしくなっていたのだろう。状況が展開したと思い込み、

「よっしゃ! 工場地帯突破や!」
「これで本来のルートに戻ったはず」
「よーし、よしよし」
「へえ」
「おっ! 標識を見ろ。大阪まで後60キロ切ったっぽいぞ」
「ほなかなり近づいたんかな」

30分後……。

12/29 PM10:15

※イメージ図です※

何故だ。何故こんなことに……。

我々はまた別なる謎の工場地帯をぐるぐる走らされていた。時刻は午後10時過ぎ。眠る工場地帯は完全なる闇と静けさに包まれており、異様な不気味さを感じさせた。

そして、俺は何気なくカーナビに目をやった。その時だ。

「ど、どういうことだ!!!」

思わず叫んでしまった。
しかし、それは無理からぬことだった。我が目を疑うような、衝撃的なものが示されていたのである。それは……。

目的地まで残り70キロ

……出発したときに表示されていたのが70キロ。で、約1時間半移動して1キロも変動していない……。

おかしい。おかしいぞ!
だってさっき大阪までの距離はかなり詰めていたじゃあないか! 100キロが60キロくらいにまで近づいていたじゃあないか!

それじゃ何か?

明石駅とは1キロも近づいていないが、大阪だけは40キロ近づいてきたってことなのか?
我々はスタンド使いか、キツネもしくはタヌキに化かされているのではないか。ちょっと怖くなってきた。

ただそれぞれ家に帰りたいだけなのに、何故真っ直ぐ帰れんのだ。カーナビもスマホもあるのに、何故だ?

そして、ここはどこの工場地帯なのだ?

無限回廊ならぬ無限工場地帯。ここで足止めされながらも、普段ならば冒険時は俺ひとり。だが、今は違う。

仲間がいるのだ。

三人寄れば文殊の知恵

各々脳ミソをフル回転させて、ああでもない、こうでもないと考えに考えた。そして、とうとう我々の頭脳である友彦くんが「これだ! このルートに違いない」という道を見つけ出した。

その通りに進んでいくと、たしかに謎の工場地帯から抜け出すことが出来た。あとは道なりに進んでいけば、目指すべき基本ルートに到達するという段階までの道筋が見えてきた。

これには車中盛り上がった。

※イメージ図です※

ところが、である。

道なりに進んでいたつもりなのに、気づいたらわけのわからない金網フェンスで囲われた、オフロード小路を走っていたのだ。

「おい、徳嶋! 一旦止まれ」
「何か変だ」
「あ、ああ」

幸い軽自動車だったため、持ち前の小回りの効きの良さを発揮し、一旦オフロード小路に入る前のところまで戻ることに。

そのとき友蔵が気付いた。

「あのカーブミラーなんだ」

見ると、金網フェンスの向こう側に変な角度のカーブミラーがあり、よくわからないが部分的に割れているのが見えた。

金網フェンスがあるから車が当たるとは考えづらい。どうして割れたのだろう。いや、フェンスが出来るまえに割れたのか。いや、フェンス取り付けの前にどければいいのでは? 割れているし、角度もおかしいし、汚いし。

いや、今はそんなことはどうでもいい。
とりあえず全員を送り届けねばならんのだ。まだ200キロ以上運転せねばならんのだ。集中しろ、集中!

なんとかオフロード小路の入り口まで戻った愛車・鉄の棺桶3号。道を確認してから、再出発。友彦くんの口頭ナビは続いた。

やがて住宅街に出た。

それまで真っ暗闇で、街灯が点在するだけの心細いルートだったため、人の気配があるというだけで我々は安堵するのだった。

まるでRPGで人里離れた難易度高めのダンジョンをクリアしたかのような心持ち。しかし、どう考えてみても、行きしなにこんな住宅街は通っていない笑

間違いなく高速道路で近場までいけたのだ。

だが、今は過去を振り返っている場合ではない。3人で頭をしぼりながら前に進むしかない。

※イメージ図です※

「これは兵庫の山の神が俺を帰したくないんじゃねえか?」と本気で思わないでもなかったが、「冗談じゃねえ。俺は徳島の山の神のもんだ」と心を鬼にしてハンドルを握った。アクセルを踏んだ。

途中、「これは本当に神戸なのか?」「俺らが知ってる神戸じゃねえが」という、真っ暗闇の中に「ここは誰がなんと言おうと神戸だ」と言わんばかりの標識を発見。ぼんやりと浮かび上がる「神戸市」という3文字に寒気を覚えた。

嘘だ。神戸にこんな真っ暗闇の山なわけがねえ。これはキツネもしくはタヌキが我々を化かしているに違いない。ここは神戸じゃねえ。獣たちの作った幻の世界だ。

こいつを突破するためには、「これは幻だ。惑わされるな。俺たちは俺たちを信じていくんだ」という強い信念が必要だった。

しかし、不思議な現象はとどまらない。

途中、カーナビの矢印(我々が乗った愛車・鉄の棺桶3号の現在地)が、実際には2、3キロ以上は移動して前進しているはずなのに、ピタリと止まって動かなくなったり、

数メートル走るたびに何か木の実のようなものが車の屋根を叩く音がしたり、

とにかく様々なことが我々を翻弄し続けた。

だが、そんなこんながありながらも、気付けば目的地である明石駅……ではなく、友彦くんが住むマンション前に到着した。

12/30 AM0:00

ここでの口頭ナビ担当の離脱は不安だが、仕方ない。別れを惜しみながらバイバイ。入れ替わりで友蔵が助手席へ。

そこからは実にスムーズだった。

あとはひたすら淡路島を横断しながら、徳島県に向かい、そこから西へ西へと……。

俺が眠くならないように、友蔵はスマホで様々な音楽をかけてサポート。だが、俺はテンポの悪い音楽でも眠くなるし、テンポが心地よすぎる音楽でも眠くなる。何だったらリンダリンダも気持ちよくなって眠りにいざなわれる特異体質なのだ。

いろいろ試した結果、なんだかんだでポルノグラフィティは素晴らしいことがわかった。

その流れで友次郎の話になり、衝撃の事実を知った。友次郎は元々徳島の子で、バンドを組んでいた。

そのバンドのメンバーがKing Gnuのドラムの人ってのは知っていたんだが、そのバンドが、俺がチケットもぎりの手伝いをしていたときのイベントで演奏していたことを知った。(ちなみにその日俺は四星球のドラムの人に知らずのうちに失礼をかましていた例の日)

また、そのバンドが対バンとやらで、米津玄師と一緒に出演していたらしいことを聞いて眠気ざ覚めた笑

徳島の若者すげぇよな(*´∀`*)

とまあ、こんな具合で友蔵を実家に送り届けたのち、俺も無事に自宅に帰ってこられたというわけだ。本当にめでたしめでたしだよ。

結局、帰宅したのが午前2時過ぎ。出発してから約21時間経過していた。

友蔵からは、「鉄人」の称号を得た俺は風呂に浸かり、パジャマに着替え、布団に潜り込んだ。

こうして、俺たちの長い長い1日冒険は幕をおろしたのである。おしまい。

Fin 

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