具材は、刻んだ油揚げとネギ、かまぼこという顔ぶれで安堵出来る。
ひとくち「たぐ」って驚いたのは、「こんなに洗練された祖谷そば初めて!」「恐ろしい子!」ということだ。個人的な印象としては、祖谷そばというものは「もっと未完成。だけど、それがいい!」という、優れた素材と環境任せの観光食というイメージが強かった。
もちろん今まで食べてきた祖谷そばも旨かったが、ここのはホンマ洗練されているのだ。
ちゃんと「蕎麦」というフォルダに堂々と居る蕎麦というか何というか。「うちは観光関係なく蕎麦一筋でやってるんで」という気概を感じるのだ。もちろん観光客への配慮はあるけれども、その一面がなくても「蕎麦」という看板ひとつでやっていく職人の匂いがする。
旨い。途中何度か視界に七味唐辛子の瓶が入り、「味変するか?」と自問したが結局する間もなく、たぐり終えてしまった。
そして、ここで俺が手を伸ばしたのが……、
漬物
漬物も良いね。そのお店の感性みたいのが、ぼんやりとわかるから。
ちなみに上の画像右側が、大根の漬物。いわゆるタクワン乃至タクアン。控えめで素朴な味わいの、美味しい漬物だ。
そして、左側。珍しいタケノコの漬物。梅風味に漬かった濃いめの漬物だ。クエン酸を感じられ、疲れが吹っ飛んでいきそうだった。お姉さんから味の感想を問われた唯一のメニューである。(お姉さん的には「梅味は梅干しに限る」そうだ笑)
漬物をひとかじり、ふたかじりした俺は、ぐびぐびっとお冷を飲んで口の中をリセット。
ご飯をむしゃむしゃ。
水分をたっぷり含んだご飯は、母の炊くご飯を思い起こさせる。
それはさておき祖谷においてお米は貴重だからね。何しろ土地柄、田んぼがしづらくお米が思うように収穫できないという歴史背景があって、そこから「そば米汁」という文化が生まれたそうな。
そういう歴史が頭に入っていると、お茶碗一杯のご飯へのありがたみの感じ方が変わってくるよ。
そして、徳島を代表する郷土料理「そば米汁」をすする。