ちょっと雑記を。
12月も末だ。学生的な実感とするなら、二学期が終わったくらいだろうか。
このくらいの季節になると、思い出すことがある。
「クラブ」という授業
小学5、6年生の頃、火曜日の6時間目あたりに「クラブ」という授業があった。
それは、生徒たちがいくつか用意された「クラブ(部活みたいなもの)」から好きなものを選んで行なうというもので、個人的には結構楽しみな授業だった。
最初は、大好きな「体育クラブ」を選んで、ドッジボールやキックベースなんかに興じまくっていたんだけど、学期ごとに違うものを選ばないといけなかったので、毎回「体育クラブ」を選ぶことは出来なかった。(一学期と二学期、二学期と三学期というふうに連続で同じクラブを選ぶことは禁止されていたが、一学期と三学期のように二学期に違うクラブを選んでれば、1学年で体育クラブを二度楽しむことが出来た)
「体育クラブ」が選べないとなると、大抵の男子は頭を抱えることになる。
お料理やお菓子づくりを楽しむ「家庭科クラブ」は女子だらけで気恥ずかしいし、「書道クラブ」に関しては作法に恐ろしく厳しい教頭先生が待ち構えていて怖いし。あったかどうかも定かではない「そろばんクラブ」に関しては、習い事臭が半端じゃない。
俺たち小学生は、授業という大義名分のなかで大手を振って遊び狂いたいのだ。
クラブを通して何かを学ぼうとか、ひとつ成長してやろうなんていう気はさらさらなかった。
それだけに「クラブ」の選択は非常に重要で、
だけど、俺には「体育クラブ」以外にも興味のあるクラブがあった。
それは、「マンガクラブ」である。
落書きするのも大好き。ちゃんとコマ割りしてマンガっぽいものを描くのも大好き。
そんな俺にはまさにうってつけのクラブと言えた。
それに俺の学年においては、
「男子たるものスポーツは当然として、マンガのひとつやふたつ描けねばならぬ」
という暗黙の了解みたいなものがあった。(実際、マンガが上手に描けたり、面白いのを描けたりするやつは「足が速い」「ドッジボールが上手」「面白い」に比肩するほど尊敬を集めた)
我々にとってマンガを描くというのは男子の嗜みのひとつでもあったのである。
というわけで、
二学期の俺は迷うことなく「マンガクラブ」を選択した。
期待しすぎた「マンガクラブ」の実態
「Gペン使って描くのかな?」
「ネームの描き方やトーンの貼り方は教えてもらえるかな」
などと期待に胸を膨らませつつ、二学期最初の「クラブ」の授業に向かった。
ところが!
「マンガクラブ」だというのに、どういうわけか「セル画」を作成するはめになった。
セル画(セルが)は、セルアニメ製作過程において用いられる画材「セル」とよばれる透明シートに描かれる絵。 透明シートの素材にセルロイドが使用されていたことに由来する。
詳しくはないけど、完成させてくと、超本格的なパラパラ漫画の1コマ1コマになっていくものとでも言えばわかりやすいだろうか。
透明のシートに下絵を描いて、それを確か裏っかわから色を塗っていくのだ。
作業自体は楽しいんだ。アニメを作りたいと思ったことはないにせよ、絵を描くのは嫌いじゃない。そして何より新鮮な行為だ。
だけど、週1ペースでの作業。
ひと月で4回。1学期間を約4ヶ月と考えて、4回×4ヶ月で合計16回。たった16回でアニメなど到底完成するはずもない。
もちろん担当の先生としても、
別に小学生に対して「本格的なアニメーションを作成させよう」だなんて思っていなかっただろう。
「シワの少なそうな子どもたちに少しでも刺激を与えて、シワの一本でも増やしてやろう」程度の感覚だったに違いない。
そもそも、立派な芸術大学の課題じゃないんだからね。
でも、子どもとは言え、興味のある分野においては子どもなりに本気で取り組むじゃないか。
それなのに二学期が終わる頃には、なんだか酷く騙されたような気持ちになって、沈んだのを覚えている。
結局、2、3枚のセル画を完成させたのと、
気分転換にプラ板キーホルダーを1つ作って二学期が終了した。
とうとう、ひとコマもマンガを描くことなくマンガクラブの活動が終了したのである。
どうしてですか、先生。
どうして「マンガクラブ」なんて名乗ったんですか?
どうして「セル画製造クラブ」と名乗らんかったんですか?
古い話だ……。
えっ、何の話?
と思われても仕方がないが、これがある意味この時期一番ぼんやりと思い出す記憶なのである。
我ながら見事な雑談だ。
明日は寒そうだから、この辺で。