奥社から命の水への死亡遊戯
しょぼくれて帰る途中、一瞬体がグラっとふらついた。
「ん? 目眩?」
すると、突然頭の奥のほうが痛くなった。気づくと、汗が止まっていた……。
脱水症状か!!!???
あいにく装備は一眼レフとスマホのみ。軽い探索で戻るつもりだったため、水は車の中に置きっぱなしだったのだ。
さらに、奥社から戻る道はひたすら坂道を登っていくかたちになる。それも結構な斜度で、結構な距離を、だ。おまけに本殿があるあたりに戻ったとしても、それがゴールというわけではない。
肝心の水があるのは駐車場にとめた車の中。
とにかく今は、ただ歩くしかない。諦めず、一歩一歩着実に自分で歩き出さないことには、生存の目はどんどんなくなっていくわけだ。何しろすれ違った参拝者1人以外、誰もいないのだから。
途中、水行に使われる滝?に喉を鳴らし、水子地蔵尊のところに流れ出る水にも喉を鳴らしつつ、耐えに耐えながら、長い長い登り坂をゆっくり歩いていく。
救いは、頭上は木々によって直射日光から守られていたことだろう。また、流れる自然の水のおかげで、やや涼しく感じられたことも大きかったかもしれない。
辛抱強く歩き続けること10分くらいだっただろうか。ようやく本殿まで出てこられた。神主さんやそのご家族らしき人たち、参拝者など、人の気配への有難みを痛感。