親切にもお持ち帰り後のことまでフォローしてくれている。「レンジで温め直す場合」「トースターで温め直す場合」のコツが書かれていた。
はい、オープン!!!
いやあ、なかなかのボリューム。すでに圧倒される俺。そして、気になったのは、「あっ、箸がねえ。楊枝がねえ」ということだ。すぐに気づく。
「なるほど。素手で掴んで喰うスタイルだな?」
はたしてそれが正しいのか、単に箸か楊枝などを入れ忘れたのかは定かではない。だが、ここで重要なのは、この唐揚げが旨いのか旨くないのかだけである。
容赦なく唐揚げをひとつ、鷲掴みにした。そして、そのまま熱々のそいつを口に丸ごと放り込む。熱い。「あふいなあ」と思いつつ、歯を通す。
む……。思いの外、肉汁的なものは出てこない。あっさりしているな。代わりに漂う柚子の上品な風味。
なるほどなるほど。そういうことか。たしかこの唐揚げは「日本酒に合う唐揚げを作ろう」とオーナーが苦心して造り上げた逸品だったはず。