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【祖谷】雲海を目指して早朝に独り山道ドライブしていく話【雲海】

投稿日:2019年12月8日 更新日:

山道の複雑さ、不規則さを舐めていたわけではない。俺もこの1年以上徳島県内の色々な山道を移動しまくっている。

GPSが捉え損ないかねない、山道の高低差も念頭におきながらハンドルを握っていた。

※画像はイメージです※

ところがどっこい。
目的地まであと200メートルで、ナビには旗印が立っているのが見えるところまで来たとき、俺は何故か山奥の民家の前にいた。

おい、カーナビよ。お前は俺に人ん家の庭を突っ切って行かそうとしてるのか。

さすがにそんな無茶苦茶な真似は出来ないので、仕方なく一旦来た道を少し遡り、分岐点まで戻った。

パッと見るだけでも、「この先は対向車来たら地獄であること間違いなし」な狭い狭い道への入口だった。

ガードレールやカーブミラーの設置も曖昧。道の舗装は辛うじてなされているものの、台風か何かの影響なのか、木々や落下してきたであろう石たちが行く手を阻んでいた。

※画像はイメージです※

本音を言えば、
「今すぐ引き返して、家に帰り、飯食って眠りたい」という心境だった。

しかし、今年俺が雲海を見られる機会はそう多くないはずだった。

と言うのも、雲海が見られるシーズンは「3~4月、10月~12月」と限られている。12月に入れば山道は凍結するおそれがある。

この日が11月10日だから、来月まで全ての土日を使えても、6回しかチャンスはない。そのうち何回条件を満たす朝を迎えられるかの保証もないのだ。

眼前にチャンスが転がっているのだ。
手を伸ばし、掴みにいかずにいてどうする。行くしかないだろう。

行くか行かぬかではない。
行くしかないのだ。

ほんの一瞬だけ迷ったのは認めよう。だが、俺は狭い山道への分岐に向かって進んで行った。

それは転がりこんだチャンスを、しかとこの手に掴み、雲海の景色を見るために!

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