雨や霧を意に介さず、マイペースを貫いて剣山での紅葉狩りを楽しむ我々徳嶋ブラザーズ。気が付いたら山頂に到達していたのだが、ここにきて少しずつ気温が低下。さらに強めの風が吹き始め、剣山からの試練が与えられ始めてしまった。
だが、そんな程度のことでは我々の歩みを止めることはできない。
我々には紅葉を楽しむ他に、非常に楽しみにしていたことがあるからである。
それは、「山頂で塩むすびを喰らう」ことだ。
これに関しては絶対に譲りたくない儀式なのだ。実際、剣山に向かう道中、コンビニに寄ったのだが、まさかの「塩むすび」売り切れ。仕方がないので、コンビニをはしごして購入するほど徹底した我々の形式美なのである。
それはさておき、ちょうどいいことに山頂には我々以外には誰もいなかった。つまり、徳島県で最も高い空間を我々が完全に独占することが出来たというわけだ。多少天気が悪いなどは大した問題じゃない。
我々はとりあえず次郎笈(じろうぎゅう)が一望できるベンチを陣取った。
最高の食事
約1時間ほど雨に濡れまくりながら探索、撮影をして到達した頂で「いただきます」。ひと口含んだ瞬間に「わあ、うめえ!」。もはや反射的に声が出てしまう。パブロフの犬ってやつだな。塩むすびの俺。
俺もマーもしっかり食事。後半戦もしっかりばっちり楽しむためにエネルギーを回復させることに。
マーが重いのに持参してくれた温かいお茶をすする。芯から冷えた体が一瞬で温まっていく。これは最高の一杯である。
もともとボキャブラリーも乏しく、味もよくわからない俺であるが、この「山頂での塩むすび」と「温かいお茶」の良さを表現する言葉は存在しないと思っている。ただ、実際に体験さえすれば誰しもが理解できる良さとだけ書いておこう。