俺は早食いなほうだ。だから、まだここまで1、2分程度しか経っていない。つまり、オムレツもまだホカホカだろう。
ナイフとフォークで切り分けながら、パクッ。
ふわとろ卵は、ほのかに甘くて、かすかに塩気。これは初めて体験するオムレツだが、めちゃくちゃ好きな味だ。
正直いうと卵焼きは甘いのより、塩気あるほうが好きなんだな。卵焼きに限らず、おかずは甘いよりしょっぱいほうが好きなのだよ、俺は。
でも、このオムレツはその好みのストライクゾーンの、外角低めギリッギリ「ボール」のコースに伸びてきて、手前で急激に変化して「ストライク」になってきたのだ。
食べた印象としては、魔球のような不思議な旨さ。さて、苦手な食レポを無理やり好きな野球で例えようとして失敗したところで、砂糖をたっぷり入れた甘いコーヒーをひとすすり。
美味しくオムレツを堪能し、コーヒーをすすりながら、優雅な時間を過ごす俺。しかし、何かおかしい。何かが妙だ。何なのだ、この違和感。何か重要なことを見落としているかのようなモヤモヤ。
……釈然としねえことがある!