秘技・素手箸(手づかみ)
お箸を取りに行くのが面倒だったので、もちろん熱々松茸は手づかみで喰う。
むしろココでの半端な上品さは、逆に山の恵みに失礼無礼というもの……なんて考えながら焼きたての松茸を頭からかじった。松茸の芳香が鼻孔をどーーーーーーん! 肉厚な茸がコリコリと良い食感。
自然にアサヒスーパードライに手が伸びてしまう。いかん、秋の味覚の絶対王者にのまれている笑
しかし、旨い。味付けなんて、搾ったすだち程度のもの。徳島県産の松茸に、徳島県産のすだち。このコンビ最強かよ……。予定じゃココらへんで道の駅にしいやで買ってきた「すだち醤油」の出番がくるはずだったのだが、風味の絶妙なバランス感覚をくるわせたくなかった。
そのままコリコリ。シャキシャキ。アサヒスーパードライぐいぐい。
夕焼けに染まる直前の空の下、俺はひとり山の恵みを堪能しながら、笑ってしまった。
全部食べ終え、呑み終え、胃を満タンにした俺はしばらくベンチに座り込み、未だ燃え続ける炭に手をかざした。少しずつ秋冬の風の冷たさに変わっていく時間帯。炭火の温かさが安心の安らぎをもたらしてくれる。
そして、一息ついたあと、両手を合わせて、
「ごちそうさまでした」
と一礼。深々と一礼。その辺の謝罪会見など比ではないくらい深く深く一礼。
こうして俺は本気の松茸の風味を知ってしまったわけだ。もし、来年も許してくれるなら一緒に狩りにいって、今度こそ俺も自分で見つけ出したいところである。
本当に最高の休日となった。山も、みんなもありがとうございました!
というわけで今回はここまで。それではまた、したらなー。