社長がやってきて、「TV映っても大丈夫な人いますか?」的なことを我々のチームに聞いてきた。どうやらNHKさんが作業風景の映像が撮りたいらしいのだが、「どうしても映りたくない」という人が多数いたためテキトーな人材を探していたようだった。
躊躇なく「俺、大丈夫っす!」と手を上げた。
こうして「TV映っても大丈夫」な人だけで構築された急造チームが完成し、NHKのカメラの前でひたすら同じ作業をするということになった。
ここで一緒になったおじさんも、撮ってもらえるのが嬉しいようでしきりにNHKの方に話しかけたり、「いつ放送なのか」と聞いたり、「わしも全国デビューかのう」と笑ったりしていた。なので、おじさんに「おやっさん、こういうときは真面目に作業してる人ほど映るんすよ」とアドバイスを送った。
テレビカメラに浮かれるおじさんたち
何しろNHKさんも遊びで来ているわけではない。阿波和三盆の原材料であるサトウキビを収穫したり、作業したりする地元民(俺は違うけど笑)の画を撮りにきているわけだ。となると、カメラ目線でピースをしたり、カメラが気になって作業どころじゃない様を見せたりしていては、映す価値はないのである。
それでもおじさんは浮かれており、しっかり作業はしながらもカメラを意識しまくっているのが傍から見てわかった笑
一方、偉そうにアドバイスをした俺はというと、正直カメラを意識していた。だけど、絶対にカメラに目線は送らず、横目でカメラの配置を把握しつつ、素人なりに「はは~ん、なるほどな。こういう角度の作業姿が撮りたいのか?」「よし、今荷台に束ねたん運んだら単体で映るな」などとイヤらしい計算をしながら動いていた笑
気づくと撮影は終わっており、そのまま作業を続け、やがてお昼を迎えた。
昼食は各々があらかじめ準備しておいたものを、各々好きな場所でとって、1時間後(午後1時)に再びサトウキビ畑に戻ってきて作業再開するということで一旦解散。
愛車・鉄の棺桶3号でぱぱぱ~っと食事を終えた俺は、シートを倒して仮眠をとったあと畑に戻った。誰が開始の合図を出すでもなく、止まっていた時間が突然動き出したかのように作業は再開された。