前回までのあらすじ
神通滝の水を飲んで、帰ろうとしたら、背後からバチバチっと鋭い視線を感じた俺。振り返るとそこにはヤツがいた。
「やべっ、観光客か?」と羞恥心が沸き起こったのと同時に、別の記憶も蘇った。2年前の熊とニアミス(たぶん)事件だ。
季節的にも似ていたし、冬眠から覚めた熊が寝ぼけてやってきていても不思議ではないと思った。先に沸き起こった羞恥心は一瞬で消え失せ、恐怖心に呑み込まれてしまった。
おそるおそる振り返ってみた。「熊がいた場合、全力で横をすり抜けて走ってみよう」と考えながら……。(ちなみに熊は、時速40キロというウサイン・ボルト並みの速度で走るらしい)
そこにいたのは……。