忘れもしない。あれは、今から7年前の6月9日のことだった。(2025年10月現在)
当時、俺は仕事もプライベートも、何もかも上手くいっておらず、これから何をしたらいいのかわからず、迷い続けていた。休日も、ただ漫然といえで過ごすことが多く、あまりの退屈さに、心身ともに渇き切っていたのを思い出す。
少し気分転換にドライブでもしようと思い立ち、何気なく大好きな鳴門方面の道(通称鳴池線)を走ってみることにした。当時ドハマりしていた、ビートたけしのCD(ゴールデン☆ベスト ビートたけし~ビクター・シングルス&アルバム・セレクション)をBGMに家を飛び出した。
何となく「道の駅第九の里に寄って、朝ごはんでも食べながら予定を整えるか」なんて思い始めると、妙に心が躍った。思いがけない楽しさに気が付いた瞬間だったように思う。
好きな歌を聴きながら、何となくの目的地に向かって、大した目的もなく車を走らせる。
ただそれだけのことだったが、渇いた心に潤いを感じていた。
道の駅第九の里に到着したのは、午前9時くらいだっただろうか。

まだ開店したばかりで、お客もまばら。店員さんもどことなくぼんやりしている印象を受けた。一日のはじまり特有の、まどろみと現実の狭間の心地よさを感じた。
しかし、予定していた朝ごはんを食べようにも、まだイートインスペースは開いていなかった。このときから、大した下調べもしなかったので、何時から食事が出来るのかさえ知らなかったのである。慌ててスマホで検索したところ、食事は9時半からだとわかった。
仕方ないから、その辺をうろうろしながら30分、時間を過ごすことにした。
