据えプロレスマスク被らぬは男の恥なり

友達が「これやるよ」と言いながら、差し出したのはプロレスマスクだった。

 

友達にマスクを貰った。

 

出来れば花粉対策のマスクが欲しかったんだけど、友達がくれたのは空中殺法が頭に浮かび、ジグソーの名曲「スカイ・ハイ」が聴こえてきそうなマスクだった。

 

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プロレスマスクの誘惑。

 

「何や、これ。カラーボールみたいな生地やな。いるか、こんなもん。いつ付けるんや」と文句は言ったが、「まあ、念のためや」と友達はにやりと笑ってマスクを俺に押し付けて帰っていった。俺の性質を見透かしたような、気になる笑みだった。

 

しばらく放置したものの、時間が経つにつれて気になって仕方なくなってきた。

 

次第に、マスクが目の前にあってかぶらないのは如何なものかという葛藤に苛まれはじめた。据え膳食わぬは男の恥ではないが、据えプロレスマスク被らぬは男の恥ではないかと思い、一度だけ被ってみることにした。

 

こういう形状のマスクを被るのは人生初のことだ。初めて手にとって見るレスラー使用のマスクをまじまじと観察。観察。観察……。

 

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へえ、意外としっかりとした造りなんやな。さわり心地も悪くない。生地もイメージしていたよりもずっと通気性が良さそう。よく見ると、やっぱり格好いいなあ。

 

頬が緩みはじめるのに、そう時間はかからなかった。

 

後面にある交差した太い紐をゆるめて、マスクを広げる。

 

そして、マスクの中に吸い込まれるような感覚がしたと思うと、記憶が飛んだ……。

 

 

 

気づくと俺はマスクを被り、ギターを持って「スカイ・ハイ」を弾いていた。

 

これが俺と不思議なマスクとの出会いだった。

 

 

 

 

 

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