愛用の一眼レフカメラ「PENTAX K-5」ことペン太は、俺の週末の冒険においてスマホと財布と愛車に並ぶ「俺の大事大事四天王」の一角である。
とくに一眼レフの魅力に気づいてハマった最近は、尚更俺の中での存在感を高め続けている存在である。
さて、アナタは「レンズ欲しい欲しい症候群」というのをご存知だろうか?
レンズ欲しい欲しい症候群とは、「ある程度一眼レフの操作にも慣れ、ある程度一眼レフに親しめるようになったあたりで、一度新たなレンズを購入することで、『広角も持っておきたいな』とか『望遠レンズがあると良いんじゃないか?』『単焦点レンズが良いらしい』とかなっていき、『あれも欲しい これも欲しい もっと欲しい もっともっと欲しい』状態に陥ってしまう」ことである。
一眼レフカメラを買ったとき、先に一眼レフの世界に足を踏み入れていた弟から、「レンズ欲しい欲しい症候群には充分気をつけるこったな」と言われていた。
それを聞いた当初は、「そんな馬鹿な。この俺が状況に応じてレンズを取り替えてまで写真を撮るなど……。とてもとても」と半笑いで聞き流していた。
ところがどっこい。現実はどうだ?
すでに「野球やスポーツを撮りたいな」と思って望遠レンズを買ってしまっているではないか。そして、さらに「こういうのがあっても面白いんじゃないか?」とトイカメラ風に撮れる激安レンズも手に入れてしまっているのだ。
そして、今は広角か単焦点レンズを毎日のようにネットで検索して情報を収集している……。ふと窓ガラスに写った、血眼になってレンズを検索かけまくる、ブルーライトに照らされた己の姿を見て、気づいた。
まずい。。。もしや、俺はすでに「レンズ欲しい欲しい症候群」に片足を突っ込んでいるのではないだろうか……?
しかし、気づいた頃には時既に遅し。
片足どころか、両足どころか、耳たぶあたりまでドップリと「レンズ欲しい欲しい症候群」という物欲の沼に浸かってしまっていた。
だが、幸いにも欲しいレンズは、そうやすやすと手に入る金額ではなく、何なら俺が愛用する相棒ペンタ本体の10倍くらいのお金が必要になることからポチることなく済んでいる。
己の経済力のなさによって、厳しい現実の痛みが気付けとなったようで、ハッと目が覚めた。
このままではいかん。大事なのはレンズではない。撮影を楽しむ心だ。写真は道具で撮るのではない。何を撮るか。何をどう工夫して撮るか、なはずだ。
とても大切なことを思い出した俺は、ギリギリのところで「レンズ欲しい欲しい症候群」の末期症状を免れたわけである。
ちなみに末期症状に陥れば、最悪はお金を借りてまで欲しいレンズを手に入れようとしたり、生活費に手を出して一家離散という悪魔的状況にまで転落するらしい。果ては地下の労働施設でチンチロで搾取される運命をたどることになるとも言われている。
一眼レフとは非常に魅力的で、楽しく、ハッピーな趣味であるが、常に己を律し、「写真とは何ぞや」「何のために写真を撮るのか」など本質を問いかける禅問答のようなことをし続けなければ、脅威の「レンズ欲しい欲しい症候群」(別名:無限物欲地獄)に呑まれてしまうので注意が必要である。
その話を写真好きの友達に話したところ、
「お前はレンズ以前にストラップを買え」
と一蹴されてしまった。
はーい、わかりましたー。