徳島市 徳島県民による徳島観光 文化

【文七元結】2019椿欣也 芸能生活25周年記念公演を観に行った話【あわぎんホール】

投稿日:

さる10月11日金曜日。俺は、何かの抽選で当たって貰ったチケットをもらって、あわぎんホールにやってきていた。

「2019椿欣也 芸能生活25周年記念公演」を観るためである。

開演が平日の16時50分ということもあり、社長に頼んで少し早めに上がらせてもらっての参加だった。

あわぎんホールを訪れたのは、今年の3月以来のことだ。

県営の地下駐車場に鉄の棺桶3号を停め、軽く彷徨いながらホールへ向かった。

ホールに入ると、広いロビーには60~90歳くらいの人生の大先輩たちがごった返していた。どう見ても、俺が全体の平均年齢をガクッと下げているのは疑いようのない事実だった。

なかにはピンク色のお揃いの法被を来ている人たちもいて、どうやら椿欣也氏の大ファンであり、実行委員会みたいな役割を担っているような人たちのようだった。(チケットのモギリや物販ブース付近でウロウロしている)

(椿欣也って凄い人気なんだな)

と改めて驚いた。

さて、ここでひとつ説明しておかねばならないことがある。

椿欣也とは何者?

歌手活動にてメディア出演を積極的に行う傍ら「舞で魅せ、歌で聴かせ、芝居で心揺さぶる」のキャッチフレーズで座長公演、舞踊会、ディナーショー等をおこなう。座長公演では、脚本・演出・構成・振付など全てを手掛けている。

ウィキペディアより抜粋

という徳島県徳島市出身のエンターテイナーである。

女形も男形もこなし、歌も歌い踊り、和太鼓も鳴らし、殺陣もこなす。変幻自在の芸をもった、芸歴25年の男なのだ。

そんな椿欣也氏の25周年を記念した公演が今回訪れたコレというわけ。

それから、催し中は、写真、動画一切禁止なのでその前後の写真しかないのでご容赦くださいまし。

オープニングセレモニー

貰ったチケットはA席18列目の10という席で、結構後ろのほうではありながら、全体が見渡せる良い席のように思えた。わりと隅っこなのも俺的にはリラックスして観られるなと嬉しかったな。

席について、まわりを人生の大先輩がたで囲われながら、開演を待っていた。

すると、会場のブザーが鳴った。どうやらオープニングセレモニーってのが始まるようだ。はて、オープニングセレモニーってなんだろう。

ぽけーっと舞台上を眺めていると、立て続けに様々な催しがはじまった。

まずは、歌に合わせた女性の舞があって、また別の女性による歌があって、マダムたちによるフラダンスがあって、ベリーダンスがあって、など盛りだくさんな内容だった。

それらが終わってしばらくすると、椿欣也後援会長みたいなおじさんが出てきて挨拶をして会場を盛り上げていた。

第1部お芝居・名作「文七元結」

とくに理由がアナウンスされることはなかったが、何故か聞いていたより20分早く第1部お芝居・名作「文七元結」が始まった。

この文七元結っていうのは、三遊亭圓朝創作の落語で、一言で言えば人情噺だ。内容をザックリ簡単に説明しておくと、

元々は腕のいい左官屋だった大の博打好きの男がいた。男は、負けて帰りゃ妻に手をあげるロクでなし。

そんなどうしようもない父親にふたたび真面目に働いて貰おうと、娘は吉原遊廓の女将さんに身請けを頼み込む。

「身請けで出来たお金で父には借金を返してもらい、一からやり直して母と仲良くしていってほしい」と。

その話に感動した女将さんは、男を呼び出し事の次第を話す。そして、女将さんは借金返済に必要な分を立て替えてくれると言い出した。

ただし、「来年の大晦日までに返済しないと、娘はうちで働いてもらうことになるよ」と釘を刺す。それを平身低頭で承知した男は、娘に「必ず迎えに来る」と約束し、遊郭を後にする。

その帰り道、挙動の不審な若者に遭遇する。

訝しんだ男が見ている所、その若者が川に身投げをしようとしはじめた。

男は慌てて止め、わけをきいた。「遣いで50両の掛け金を集金したのだが、途中で怪しい男にスられてしまった。雇い主に顔向けできないから身を投げるんだ」と若者は言った。

葛藤の末、男は若者に先程受け取ったばかりの大切な金を渡した。そして、若者にその金がいかにしてココに存在するのかを語り、事情を知って戸惑う若者を励ましながら駆け去っていく男。

ところが、若者が雇い主のもとへ戻ってみると、とんでもないことがわかる。実はこの若者、掛け金を丸ごと受け取った店に忘れてきており、その掛け金はその店からの遣いですでに雇い主の元へと届けられていたのである。

翌朝、雇い主と若者は男の家にやってきて、その事実を話し、50両と手土産を持って詫びにくる。

文七元結ザックリ説明 by 徳嶋ダイスケ

ザックリって言ったけど、めっちゃ長くなったね笑

でも、この文七元結っていう噺自体が凄く長いから、これでもかなりザックリしてあるし、何なら一番大事なオチまで書いてないからね(;・∀・)

それはさておき、良い噺だった。内容はすでに落語聴いて知ってたし、現代においてはよくある展開っちゃ展開なんだけど、やっぱり良いものは良い。

しかも、生で観劇するのは初めてだから、響いた響いた。

とくに男が若者を励ますときの「良いか、死ぬな。生きろ! 死ぬんじゃねえぞ、生きろよ!」みたいに捲し立てるような声がめちゃくちゃ響いたな。

観てて思ったのは、「やっぱり、べらんめえ口調って良いなあ」と思ったことだ。「てやんでぃ」「べらぼうめ」「あたぼうよ」「するってぇと」くらいの貧困なイメージしかないわけど、子どもの頃から何か好きだったんだ。多分、キテレツ大百科に出てくる八百八さん(ブタゴリラの実家)の大将が良かったんだろうね。青野武さんが好きだったのもあるだろうけど笑

ただ誰がどの役をされてるのかはわからなかったのがアレだね笑

目が悪いので、「多分、あの主人公が椿欣也さんだろうな」くらいの感じだったのが我ながら残念。。。ただただ迫力の演技に集中しっぱなしの1時間弱だった。

30分休憩

第1部が終了すると、「30分間の休憩」がアナウンスされた。

それと同時に椿欣也グッズの販売が開始。物販ブース以外でも、会場内で売り子が商品の入ったカゴを持ってウロウロするのが始まった。

衣装、カツラもそのままに役者さんも売り子となってウロウロ。

うちわタオル(男形の椿欣也氏、女形の椿欣也氏の2種類)に加え、先程軽く触れたピンク色の法被も販売されているようだった。

中でも法被は一着9000円という値段ながら、意外なほど売れており、最終的には売切れたもんね。何でもその法被を買えば、最後お見送りの後にそこにサインをしてもらえるらしいんだ。熱心なファンであれば、そりゃ欲しいよね。

そんな観察をしていたら、30分の休憩もあっという間だった。

第2部 色絵巻特別レビューショー

2部は先程の人情噺のお芝居とは違って、彩り豊かな様々なショーの連発で、これまたオモチャ箱をひっくり返したような賑やかなイベントだった。

とりわけ印象に残っているのを紹介していこう。

何に使うのかはわからないが、マジックなどではよく見かけるスティックを使ったダンスを観た。男性によるダンスなのだが、これが非常に凄いんだけど、文章で書き表すのが難しい。。。スティックを体に這わせるように転がしたりするんだけど、相当練習しないと出来ないようなアクロバティックなダンスで観客も(当然俺も)大喜びで拍手喝采だった。

また、女性ひとりと男性2人が歌に合わせて激しいダンスってのがあった。このBGMが初音ミク「千本桜」なんだけど、良いね。非常に良く合ってると思った。所狭しと駆け回りながら、踊りまくるのが良かったし、若者に向けた新たに楽しめる催しだったと思う。

それから、途中で立川談志さんのモノマネをする人が座布団だけ持って出てくるんだけど、インパクトあったね笑

上手な客いじり。急に挟み込む切れ味鋭い踊り。下ネタで引かせてしまう場面もありつつ、それすらも愛嬌のある感じに見えるのは、談志さんのキャラクターのおかげだろうか。

座布団持ってきて、置く場所にこだわったにも拘らず、一度も座らずに持って帰るのも良かった。

それと最後のほうに椿欣也氏が若者4人と一緒に和太鼓を叩いて演奏するのがあるんだけど、まあ格好いい。最近になって「カスタードも良いけど、あんこも良いな」と思えるようになった俺にはよく響いたね。

そして、最後の挨拶を終え、役者さんが全員集合して出てきて、お辞儀をして幕が降りてきて終わりなんだけど、そのお辞儀が本当に綺麗だった。お辞儀って人柄が出るんだなと驚いた夜となった。

帰ろうとロビーに出ると、もうすでに椿欣也氏たちはやってきていて、帰っていく我々にお礼と挨拶をし続けていた。俺も大勢の椿欣也ファンに囲まれながら、軽く会釈して、あわぎんホールを後にした。

駐車場に向かう道すがら、煌々とした明かりに照らされるそごうを横目に、「来てよかったな」と思う俺であった。

やっぱり25年もやっている人の芸には、何も知らない、この若造にさえ伝わる説得力のようなものがあり、それがプロフェッショナルなんだろうなと思えた。それがこの日一番の収穫だったような気がする。

-徳島市, 徳島県民による徳島観光, 文化

Copyright© 週刊トクシマ , 2024 All Rights Reserved.