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【東祖谷】徳島県産松茸を炭火焼きの刑に処す話【with すだち】

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正直言うと、松茸は香りを楽しむ嗜好品みたいなもので、「美味しい食べ物」というフォルダ分けをしていなかったように思う。何なら椎茸舞茸エリンギなんかをバターや醤油、マヨネーズや七味唐辛子で味付けした、おつまみ化粧をまとったキノコのほうが断然大好きだった。

だから、今回の松茸狩りにしても、「絶対に見つけてとって食べるだい!」という気持ちは微塵もなかった。それ以上に地元民たちと一緒に山を冒険出来る嬉しさの方が大きかった。

素人なりにいろんな大小様々な山へ遊びにいって怖い思いもしてるからね。その山に子どもの頃から出入りして知り尽くしている地元民たちが一緒に山へ入ってくれるなんて、めちゃくちゃ心強いことこの上なしって話なわけだ。

でね、その松茸狩りの冒険に関しては前回記事にしてザックリと書いたとおりだから、その辺りに関しては記事を読んでもらいたい。

前置きがかなり長くなったけど、とにかく今回はそんな「好きなキノコランキングで、松茸がさほど上位じゃなかった男徳嶋ダイスケがもんどりを打って驚いた衝撃の松茸の実力」について書いてみるよ。

やはり炭火焼きで丸かじりでしょ?

2本も立派な松茸をいただいた俺は、みんなと別れて帰宅後、庭のベンチに座って目をつむって考えた。どうやって食うのが一番旨いか……。たしか地元民たちは、「そりゃ松茸ご飯でしょ」くらいの一択的な話をしてたんよね。

たしかに旨そうだ。実際、俺、炊き込みご飯大好き人間だから、松茸ご飯良いかもと思った。

でも、本当にそれでいいのか? 選択肢はほかにないか? ツルツルのババロア頭で考えた。

松茸と言えば茶碗蒸し(土瓶蒸し)なんてのもあるな。

旨そうだけど、作る手間がかかりそう。面倒なのは嫌だ。ホイル焼きというのは? おお、旨そうだ。でも、もうちょっと苦労してとった松茸に対するリスペクトの混じった儀式的な感じも出したいし……。

よし、決めた。

炭火焼で丸かじりという贅の極みで食ってみよう!

もちろん2本ともというわけではなく、2本のうちの1本を豪快に炭火で焼いて、すだちでも搾って丸かじりしちゃうわけだ。秋の味覚の絶対王者・松茸様だぜ? それくらいしても良いような気がする。茶碗蒸しは面倒だけど、炭火を起こす面倒さ手間さは楽しいから気になんないし笑

というわけで早速準備にとりかかる。

あっ、すだちがない! (はい、片道30分かけて車を走らせ、道の駅にしいやで5個100円の購入してきたので問題なし)

半年以上ぶりの炭起こしも実にスムーズに行えた。ひとり焼肉用に買って、昨年から愛用している例のやつだ。火を育てている間に、もらいもののアサヒスーパードライをグイグイ笑

立派な松茸

なんて幸せで贅沢な休日の夕方なのだ……。

その様子をYouTube用の動画を撮影しながら、呑みながら、準備を進めていく。

ある程度火が育ち切ったところで網を置き、熱していく。そして、松茸様をベンチの上で「斬ッ!」。包丁で真っ二つに切り、十分に熱された網の上に寝かせてみた。

何という破壊力抜群な画力なのか。葛飾北斎にでも絵を描いてもらいたいくらいのパワーを感じるぜ。

眺めているだけでアサヒスーパードライがグイグイ進んでいく。

秘技・素手返し(素手で熱々の松茸を裏返す荒業)をしつつ、両面をしっかり焼いたところで、手のひらをまな板代わりにして、搾るすだちを包丁でザクッ! このとき動画には映ってないけど、思い切り指を切っちゃった笑 良い子はマネをしないように!

で、負傷しつつも綺麗に切ったすだちを半分、たっぷり搾ってかけていく。松茸から網、網から炭へと垂れ落ちるすだちの果汁がじゅじゅ~と良い音をたてて辺りによく響いた。

本能が語り掛けてくる。

「よし、頃合いだ。食べろ!」

秘技・素手箸(手づかみ)

お箸を取りに行くのが面倒だったので、もちろん熱々松茸は手づかみで喰う。

むしろココでの半端な上品さは、逆に山の恵みに失礼無礼というもの……なんて考えながら焼きたての松茸を頭からかじった。松茸の芳香が鼻孔をどーーーーーーん! 肉厚な茸がコリコリと良い食感。

自然にアサヒスーパードライに手が伸びてしまう。いかん、秋の味覚の絶対王者にのまれている笑

しかし、旨い。味付けなんて、搾ったすだち程度のもの。徳島県産の松茸に、徳島県産のすだち。このコンビ最強かよ……。予定じゃココらへんで道の駅にしいやで買ってきた「すだち醤油」の出番がくるはずだったのだが、風味の絶妙なバランス感覚をくるわせたくなかった。

そのままコリコリ。シャキシャキ。アサヒスーパードライぐいぐい。

夕焼けに染まる直前の空の下、俺はひとり山の恵みを堪能しながら、笑ってしまった。

全部食べ終え、呑み終え、胃を満タンにした俺はしばらくベンチに座り込み、未だ燃え続ける炭に手をかざした。少しずつ秋冬の風の冷たさに変わっていく時間帯。炭火の温かさが安心の安らぎをもたらしてくれる。

そして、一息ついたあと、両手を合わせて、

「ごちそうさまでした」

と一礼。深々と一礼。その辺の謝罪会見など比ではないくらい深く深く一礼。

こうして俺は本気の松茸の風味を知ってしまったわけだ。もし、来年も許してくれるなら一緒に狩りにいって、今度こそ俺も自分で見つけ出したいところである。

本当に最高の休日となった。山も、みんなもありがとうございました!

というわけで今回はここまで。それではまた、したらなー。

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