ちなみにこのイベントにやってきてくれた最強ぷよらーは、
くるぽーさん、あず♀さん、ときさんの3名だ。
俺はeスポーツ業界に疎いので存じなかったが、お三方とも鬼のように強いことは、他の挑戦者たちとの戦いぶりで嫌というほど伝わってきた。ハンデあり(難易度設定によるもの)でありながら、鮮やかに連鎖を決めていく様には圧倒されるばかりだった。
もっとも我々挑戦者たちにも、勝利の可能性がないわけではなかった。
というのも、さすがに難易度調整程度のハンデくらいで勝負になるはずがないため、主催の阿波市観光協会さんが予め用意していたと思われる特別ハンデの存在があった。
その特別ハンデには、「コントローラー逆さ持ちプレー」「人差し指のみでプレー」「2人羽織プレー」の3種類あり、中でも「2人羽織プレー」はジョーカー級に強力なハンデといえた。
どういうハンデかというと、プレイヤーとなるぷよらーは画面に背を向けた状態でコントローラーを操作する。そして、他の2人のぷよらーが画面を見ながら指示していくという、もはや「何をしてんだw」レベルの超強力ハンデなのだ。
参戦依頼を受けた段階では、その特別ハンデシステムがあるのを知らなかったが、そういうのがあるのなら「最初から白旗を振る必要はないな」と考えを改めた。弱者の兵法。使えるカードは躊躇なく切ること。また、勝負は時の運。運の強さなら自信がある。
途端にワクワクしはじめた。
そして、一旦休憩および阿波踊りタイムを挟んだのち、我々の出番がやってきた。
いざ決戦の時だ。一応形だけでもしとこうと我々チーム「古典部」はそれぞれの手を合わせて、心を一つに気合いを入れた。
技術でも、経験でも大きく劣るのはわかっている。それでも勝機を引き寄せようと思うのなら、ひとつしかない。気持ちだ。気持ちだけでも勝つしかない。もしかすると相手にも油断があるかもしれない。それにこちらには「負けて元々」の強みがあり、強者には強者のプレッシャーがあるだろう。
そこを上手く突くことが出来れば、奇跡を起こすことも不可能ではないはずだ。
こうして我々即席チーム「古典部」の決戦がはじまった。