あず♀さんVSチーム「古典部」
舞台に上がると、どこかで見た顔があった。それは道の駅どなりで「わんこ土柱麺」に挑戦した際に名刺交換をしたり、撮影をしていただいたりしたアナウンサーの福井さんだった。覚えてくださっていたらしく、俺の紹介をざっくりとしてくれたのが嬉しかった。
また、大勢の前で「徳嶋ダイスケ」とコールされると燃えてくる笑
対戦相手は、あず♀さんだった。
正直、超強敵であることに違いはなかったが、所詮こちらは胸を借りる立場だ。負けて失うものはない。ましてや、こちらには特別ハンデがあるからね笑
だが、足掻きもせずに敗北を認める気など、さらさらなかった。
対戦直前の控室で、15歳の彼がボソッと「友達のチーム、勝ったんですよね」と言ったのが脳裏をよぎる。そう、彼の友達3人組(ナッパ様ネタの子たち)は俺らの1つ前の出番で見事勝利をおさめていたのだった。
チーム「古典部」には「古典部」の、ただ単に負けるわけにはいかない理由があったのである。
15歳の彼の足を34歳のおっさんが引っ張って、この楽しいイベントを悔しい思い出にしてたまるか。かなり美化するとそんな気持ちがあったり、なかったりした笑
第1戦目(難易度設定によるハンデのみ)
ほとんど瞬殺されてしまった笑
さすがは最強ぷよらーが1人。だが、それは想定内だ。勝負事というのは総合的に見なければならない。……とはいえ3本勝負のうち1本取られたわけだ。王手がかかっていることに違いはない。
お待ちかねの特別ハンデ選択の時間がやってきた。
我々は顔を見合わせて頷きあった。初対面であるのが信じられないほどの阿吽の呼吸。「どうする?」なんて相談するまでもなく、我々が選んだのは……。
「2人羽織プレー」
俺の記憶がたしかなら、この特別ハンデによるぷよらーたちの勝利は一度もなかった。つまり、これが現状の最適解。より確実に1勝をもぎとり、1対1のイーブンに戻す最適解。もし、これで勝てなければ仕方ない。それくらいの最適解なのだ。
会場に漏れる失笑。だが、そんなものどうってことはない。縁あってチームを組むことになった仲間を、未勝利で帰すわけにはいかんのだ。
20歳の彼がモニタを眺めながら、相変わらず柔らかな口調でつぶやいた。
「このハンデで負けたら初になりますね」
「それはそれで盛り上がるかもしれませんよ」
そう答えたような気がするが、さだかではない。俺の集中力の矛先は、目の前におぼろげに見える勝利の尻尾に向かっていたからである。……必ず獲る!!!!