タケちゃんラーメン
徳島市から小松島市や阿南市など県南に向かう際に通る国道55号線沿いにある名店だ。
これまで一度も食べたことはなかったが、ネットで調べた限りでは評価が高い。
並ぶのは味の評価についてだけではない。接客の良さについても高く評価されていた。
しかし、同時に大将の具合が良くなく、ちょくちょくお休みになっているとの噂も聞いた。
実際タケちゃんラーメンおやじのブログ(公式ブログ)を覗くと、「本日休みます」という記事や「入院しました」的な記事などが散見された。
https://ameblo.jp/takechanramen/entry-12463260166.html
なので事前にブログを見て「本日休みます」報告がないかどうかチェックしてから、お店へ向かった。
午前10時55分。開店5分前に到着した。
もうすでに常連さんらしき2人組の男性が駐車場で待機していた。体格のがっちりした、いかにも食べそうな2人である。俺のバック駐車を心配そうに見ていたのが印象的だ。(ごめんなさい。俺、バック苦手なんです。。。)
あと5分何をして待っていようか、なんて思っていると、先に来ていた常連さんが動くのに気がついた。見るともう店に向かって歩いているではないか。慌てて後を追う。
駐車場からは見えなかったが、いつの間にか回転灯が回っているではないか。
見れば暖簾もしっかりとかかっていた。おそらく店の方の配慮だろう。さすがは「接客の良さ」でも評価の高いお店である。
そして、 普通にビビった。
店に入るなり、店員さんたちが立ってお出迎えされたからである。
しかし、皆素敵な笑顔で出迎えてくれて、若干照れながら壁に貼られたメニューを見上げた。
「肉入り中華そばの……」
ほんの一瞬、「(大)で」と言いそうになったが、とっさに「(中)でお願いします」と変えて言った。
いつの間に入っていたのか、もうすでに店内にはお客さんが何人かいて座っていた。
どうやら常連さんたちらしい。「おおっ、どうも」「久しぶり」などと挨拶を交わしている。
何となく6人がけのテーブル席に腰を下ろす。 (こういう常連さんの多い店だと、カウンター席は◯◯さんの指定席みたいな暗黙のルールみたいなのがあるかもしれないと勝手に俺が思ったからだ)
しばらく壁にかけられたテレビでやっていたジャパネットたかたを見て過ごす。
ダイソンの扇風機の良さを楽しそうに説明していた。それをぼーっと見ていると、店員さんがやってきて、「すみません、相席いいですか?」と訊ねてきた。
俺が座っているのは6人がけのテーブル席。「はい、もちろんどうぞ」と変な日本語で答えると、おじさんがやってきて「すんませんな」と笑顔で俺の前に腰を下ろした。
どうでもいい話だが、俺は相席は嫌いじゃない。案外面白い体験が出来るんじゃないかとワクワクするからである。(もっともこの日は特になかったが)
肉入り中華そば(中)を持ってきてくれた。
俺は我が目を疑った。
「え? これ、大じゃないんですか?」
思わず聞きそうになるのと同時に、「(大)にしなくて本当に良かった」「あのとき咄嗟に(中)に言い変えたのは我ながらファインプレーだった。江夏の21球並だ」と思った。
変な喩えはさておき、このボリュームに一瞬圧倒される。
そして、ざっと内容を確認してみる。
たっぷりの豚バラ肉。シャキシャキと歯ごたえの良さそうなもやしにカイワレ大根に、ネギ。
いかにも濃厚そうなスープ。うん、今ちょうど俺が食べたかったラーメンだ。
喜び勇んだ俺は、箸を持って手を合わせて「いただきます」をした。
大事な大事な「食事」という儀式のはじまりの合図である。
スープをひと口。むっ、意外と温めか?
なんて思ったのもつかの間。器の底からジワリジワリと時間差で熱を帯びたスープがマグマのように溢れてくる。このサプライズ。良い!!
それからは無我夢中で食べた。食べに食べた。
途中、また別のおじいさんが相席として隣りに座ったが、お構いなしに食べ続けた。
甘辛い豚バラ肉はもうそれだけで丼飯食えちゃうくらい美味いし、シャキシャキ歯ごたえ抜群のもやしとカイワレ大根もスープによく馴染んでて美味い。ネギはわざわざ触れるまでもない。
「子どもが安心して食べられる素材を……」というこだわりがある店らしく、一切の妥協を許さない強い信念を感じた。
しかし、麺の多いこと多いこと。美味いから問題なくゾゾゾ、ゾゾゾとすすっていけるが、それでもかなりの量がある。あとでTwitterのフォロワー様に聞いたところ、量が多いでお馴染みだったらしいね。これは完全に俺のリサーチ不足。(今に始まったことじゃないけども笑)
完食まで10分くらいかかっただろうか。俺にしてはかなりの長時間である。(別に速さを求めてるわけじゃなく、単に食い意地が張ってて、美味しいものを目の前に我慢できないだけである)
充分お腹も心も満たされた俺は、大満足でレジへと向かう。
そのときも店内中から「ありがとうございます」と店員さんや大将らしき人の声が響き渡る。
「いえいえ、ありがたいのはむしろこっちの方ですよ」と思いながら、ペコペコ頭を下げながらレジに。
中華そば(中)※実質(大)のようなものだ※で1050円。
改めてレジで「ごちそうさまでした」と一礼しながら支払い、店を後にした。
たまには食べログに従って店を決めるのも悪くないと思いながら、車に乗り込む俺であった。
国道55号線を通る際には是非一度寄ってみてはいかがだろうか。
旨くてボリューム満点のラーメンを気持ちよく食べさせてくれる人柄の良い店内で食べることが出来る。非常にオススメの店だ。お財布に余裕のあるときのご褒美などにいかがかしら。
大将の具合の心配
それから、大将の具合がよくなりますように。
忙しそうだったので、お声掛け出来なかったけど、
「ごちそうさまでした」のなかに「お大事に、大将。本当に美味しかったし、量もたくさんあって大好きなラーメンをありがとうございます。完全快復をお祈りしております。それではまた」という長い意味を込めたのは、伝わっただろうか……。