これは、今年9月の出来事を今更まとめた記事である。
徳島の図書館めぐりめぐり~県南編~
俺は図書館が大好きだ。
多分幼い頃に母親が俺たち兄弟を図書館につれてってくれて、楽しかったからだろう。何が楽しかったのかは覚えてないけど、図書館など自由に読んでいい本が何千冊、何万冊、何十万冊と並びまくっている空間に入ると興奮する。
なんだ、まだこんなに読んでない世界があるのか――。
きっとその大半を未読のまま俺の寿命は尽きてしまうんだろうけど、それはそれで贅沢な感覚がしてたまらない。それこそ垂涎ものの幸せだ。
とは言うものの、活字中毒というほどの読書家っていうわけでもないんだな。
3行くらい読んで、一度でも「ん?」と悪い意味で引っかかると、もう読めない。
気になって仕方なくなって、内容どころではなくなるのだ。そして、「まさかこれから先もこんな風に気になるところが次々に出てくるんじゃないだろうな?」と気が気でなくなって、読書どころではなくなってしまうのである。
何せ自分が書いた文章でさえ、「ん?」と引っかかると、もう嫌になる。「何で俺はこんな感じに書いちゃったんだろう」と嫌気がさしてしまうほどだ。
さて、俺が読書好きなのか、読書好きじゃないのかわからなくなったところで本題だ。
タイトルの通り、俺が徳島県内の図書館という図書館をめぐりにめぐって、ヒィヒィ言うレポートの第一弾 県南編の記事スタートです。
海陽町立宍喰図書館
買ったは良いけど、使う場面がないまま9月も半ばが過ぎた「2019年スケジュール帳」と「ペン」を装備した俺は、片道3時間かけて徳島県で最も南にある図書館(多分)【海陽町立宍喰図書館】にやってきていた。
この宍喰図書館は出入り口に、館内での撮影を禁じる貼り紙をしてある。
ご安心くだされ。
われこそは図書館をこよなく愛する者。
館内の写真など最初から撮るつもりもございませぬ。
ただメモはめっちゃとるけど(;・∀・)基本的に頭に叩き込んで、車に戻ってめちゃくちゃメモとるスタイルだ笑
記念すべき1館目ということで、何に注視していくとか、何をどう見れば良いのかも曖昧だったが、とりあえず探り探り楽しみながら館内を闊歩。ひたすら闊歩。
すると見えてくる宍喰図書館の良さ。持ち味。個性。
まず非常に明るい館内。証明の感じもそうだし、窓から差し込む陽光の具合もあるんだろうね。また、館で働く人々も明るく、怪しい俺にも挨拶してくれるのだ。(怪しいからこその声掛けかもしれんが笑)
この宍喰図書館にしかないであろう、最大のポイントは「ドナルド・キーン氏から寄贈された本で構成された本棚(ドナルド・キーン文庫)」だろう。
キーン氏といえば、「49セントのわりに分厚かったから」という理由で、たまたま手にとった「源氏物語(英語版?)」を読んで感動したのをきっかけに日本文学にのめり込み、日本語を学び、日本を研究しはじめたアメリカにおける日本文学、日本文化研究の第一人者とも言うべき方だ。
それが1940年。アメリカと日本が戦争をはじめるよりも前の話である。
そして、おそらく史上最も日本を愛し、日本を探究したニューヨーカーだ。日本愛は凄まじく、本名を「ドナルド・キーン」から「キーン・ドナルド」と、日本の名字からの名前風に変えてみたり、雅号として「鬼怒鳴門(キーン・ドナルド)」を名乗ったほどだ。(ちなみに風のうわさによれば、雅号に含まれる鳴門は、徳島の鳴門から来てるんじゃねえか説があるらしい)
ただ、キーン氏は2019年に亡くなるまで東京に住んでいた。
そんなキーン氏がなぜ、宍喰と縁があったのか……。
約2000冊のドナルド・キーン文庫の棚の上には、キーン氏の自筆の「宍喰への思い」的なことが書かれた手紙が展示されている。しっかり全文書いちゃうとアレなんで、ざっくり言うと「キーンさんは宍喰に来て、ここが気に入った」的なことが書いてあるんだ。もっとも素晴らしい文章で、美しい日本語で書かれてあるんだけどね。
また宍喰の有名な陶芸家とも仲がよかったらしいから、そういった縁もあって本をプレゼントしてくれたんだろうね。
またマンガだけの本棚があってね、全部数えたわけじゃないから明確な数字ではないけども約1400~1500冊くらいのマンガが並んでいたと思う。そのなかに「すごいよマサルさん」があったのには、なかなか興奮した。
またDVDやCDのみならずVHSやLDの貸出もしているみたい。
すごいよね。オーディオルームみたいのがあって、そこには懐かしのビデオデッキあるんだから。ガチャコン、ズズー、ガコン、ウィーンって音を鳴らしてビデオ入れる感覚が、触ってないのに思い出せたもんね笑
よし、宍喰図書館しっかり研究出来たぞ。次行ってみよう!
海陽町立海南図書館
ここもマンガが多く並んでいた。多分2000冊くらいはあるんじゃないかなと思う。そのなかにはワンピースや弱虫ペダル、HUNTER×HUNTERあった。メモし忘れて曖昧で申し訳ないんだけど、金色のガッシュもあった気がするんだよなあ。。。
俺が図書館の館長で、マンガを並べるとしたら絶対に選ぶのがガッシュだ。
だから、この日めぐりまくった図書館のどこかで見かけたときに心が踊ったのを覚えている。
それから、紙芝居もたくさん置いてあって、テンションが上った。俺、紙芝居を観た記憶がなくて、「おおっ、これが噂の!」みたいにひとり興奮したな。
しっかりうろついて、メモとって、「さあ次行くか」と出ようとしたときだった。
「あのー……」
突然声をかけられた。
まずい!
不審者だと思われたに違いない。。。
恐る恐る振り返ると、そこにいたのは海南図書館の司書さんだった。
「あのー見学でしょうか?」
司書さんはにこやかに笑ったまま訊ねてきた。
「え?」
実は――と細かく事情を話すと、「案内しましょうか?」と申し出てくれた。願ったり叶ったりである。こういうことがあってこその現場はネタの宝庫というものだ。
「ぜひお願いします」ということで、司書さんの案内で改めて館内をまわる。
いろんな説明を聞かせてもらった。
たとえば、この図書館では壁に沿うように連なる本棚があって、館内を囲うように小説本用の棚が並んでいる。その本棚の上には更に2段の本棚が乗っていて、そこにも小説本が並べられているんだな。
上と下で何が違うかというと、手に取りやすい下はメイン本棚で新しかったり、よく借りられる作品などが並んでいる。上の本棚は「10年以上借りられてないもの」を収納するスペースとして使っているらしい。
でね、その話聴いてて「やっぱり司書さんは本に対する愛情が深いな」と思ったことがあるんだ。
普通は10年以上も借りられてない本は、表舞台から姿を消すわけだ。たとえば奥の倉庫的なところにまとめて置かれてたり、処分されたりして人の目につかない状態になっちゃう。
それをここではプロ野球で言うところの、1軍2軍のようなシステムを取り入れてるわけだ。
「読まれなくなった本にもう一度チャンスを与えてる優しい図書館」。そんな印象を受けた。
そのときに教えてもらったのは、海南図書館ではどうも懐かしの貸出カードシステムが生きてるらしい。学校の図書室が採用してたアレだ。それを見れば、その本が最後に借り出されたのかが一目瞭然なのだ。(ん? これってローカルルール的な話になってないよね?)
また「へー」と驚いたのが、ハードカバーの本って「あらすじ」的な文章がないんだけど、ここでは司書さんが一冊一冊「あらすじ」が書かれたシールを本の裏の内側に貼っていくんだって。
でも、ここでふと湧いた疑問は、
えっ、じゃあこの「あらすじ」は誰が書いてるの?
えっ、誰かがここにある本全部読んで、「あらすじ」をまとめて書いてあるの?
ってことだ。それをそのまま質問してみたところ、それはさすがにオオモトの管理会社が「あらすじ」を打ち込んだシールを送ってくれて、それを図書館側が貼っていくのだそうだ。(でも、やっぱり実際に読んで書いてる人がいるってことだよね? 多分……すげぇな)
めちゃくちゃ興味深く、実際に聞いてみないと知りようがない話を聞かせていただけたというわけだ。
案内してくださった、Iさん、本当にありがとうございましたm(_ _)m
「次はどこに行かれるんですか?」と聞かれたので、「そうですね~牟岐町立図書館です」と答えたところ、「きっと面白いと思いますよ」と見送ってくださった。
その言葉にワクワクしながら、車に乗り込む俺だった。
牟岐町立図書館
入館するなり驚いたのは、いきなりロックバンドのライブ会場の物販ブースみたいなコーナーが出入り口付近に出来てたことだ。
近づいてみてみるとザ50回転ズのグッズや写真などがたくさん展示されていた。
そうだ、ザ50回転ズのダニーさんは徳島出身だったっけな。俺の512メガバイトくらいの貧弱な記憶の引き出しが開いていく。そうそう、たしか県南の方だったような……。言われてみれば、牟岐あたりだったような……。なるほど、それでか。
当然のごとく眺めていく。すると、ダニーさんが生まれてはじめて手にしたというギターが、むき出しでギタースタンドに立てかけられて展示されていた。ギターを間近で見るなんて、バンド組んでた頃以来だから13年ぶりくらいだ笑
帰宅後調べてみてわかったことだが、どうやら2019年8月11日~9月18日の約1ヶ月ちょい限定の展示だったみたい。ラッキーラッキー。
ただ「図書館では写真を撮らないぞ」というマイルールというか、鉄の掟に従い、ここでも写真はなしだ。
なるほど。こういう地元出身のアーティストなどに協力してもらえば、こんなふうにイベントが開催出来るんだな。メモメモ。
それから、ここの面白いところは借りられるVHSのラインナップね。どうやらビジュアルコーナー(4台のテレビ・それぞれにビデオデッキ等完備)でも観られるようなんだけど、そのなかに「夢路いとし・喜味こいし」「やすしきよし」「海原千里・万里」「紳助竜介」などの漫才のVHSがあったのが特に気になった。
静かな館内で、思わず「いとこい師匠やん!!」と言いそうになったのはここだけの話だ。
他にもDVDなどの貸出も行なっているようだが、どうやら図書館専用のDVD販売店?のようなものがあり、そこから仕入れているらしいことがわかった。たしかに単純に普通のお店で買ってきたものを、無料で貸出したら商売上がったりだもんな。
またひとつお利口さんになったところで、牟岐町立図書館をあとにするのだった。
つづく……。