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ところが、である。
道なりに進んでいたつもりなのに、気づいたらわけのわからない金網フェンスで囲われた、オフロード小路を走っていたのだ。
「おい、徳嶋! 一旦止まれ」
「何か変だ」
「あ、ああ」
幸い軽自動車だったため、持ち前の小回りの効きの良さを発揮し、一旦オフロード小路に入る前のところまで戻ることに。
そのとき友蔵が気付いた。
「あのカーブミラーなんだ」
見ると、金網フェンスの向こう側に変な角度のカーブミラーがあり、よくわからないが部分的に割れているのが見えた。
金網フェンスがあるから車が当たるとは考えづらい。どうして割れたのだろう。いや、フェンスが出来るまえに割れたのか。いや、フェンス取り付けの前にどければいいのでは? 割れているし、角度もおかしいし、汚いし。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
とりあえず全員を送り届けねばならんのだ。まだ200キロ以上運転せねばならんのだ。集中しろ、集中!
なんとかオフロード小路の入り口まで戻った愛車・鉄の棺桶3号。道を確認してから、再出発。友彦くんの口頭ナビは続いた。
やがて住宅街に出た。
それまで真っ暗闇で、街灯が点在するだけの心細いルートだったため、人の気配があるというだけで我々は安堵するのだった。
まるでRPGで人里離れた難易度高めのダンジョンをクリアしたかのような心持ち。しかし、どう考えてみても、行きしなにこんな住宅街は通っていない笑
間違いなく高速道路で近場までいけたのだ。
だが、今は過去を振り返っている場合ではない。3人で頭をしぼりながら前に進むしかない。