浪切不動尊再訪から30分後――
俺たち徳嶋ブラザーズは、轟の滝を浴びるために海陽町は、王余魚谷(かれいだに)にやってきていた。
俺が知る限り、迷うことなく「徳島県内最強の滝」と呼べる轟の滝を、弟マーにも見せてやりたかったからである。
しかし、いきなりメインディッシュである、轟の滝を見せたのではつまらない。じっくりテンションを上げていくためにも、「二重滝から順に山を歩き登り、合間合間の滝を見て山を下り、最後の最後でドーンと轟の滝を見上げるプラン」を勝手に遂行した。
3週間ほど前、夜中に落とした納豆のパックを拾った際に、ぎっくり腰をやっていたため、腰に爆弾を抱えての挑戦だったが、果たして俺は無事に生きて帰ってこられるのだろうか……?
コンビニおにぎりで腹ごしらえ
俺たちは山歩きに備えて、腹ごしらえすることにした。事前に用意しておいたコンビニおにぎりを2つずつ食べ、体力と気力を十分回復させてから車を出た。

二重滝までの階段地獄
最初の滝は「二重滝」なのだが、そこへ行くまでの道のりは、運動不足兼腰に爆弾を抱えた俺には、かなりハードだった。
階段、階段、階段とひたすら階段が続くのである。

だが、過去に2度ここを訪れている俺からすれば、この先に素晴らしい景色が待ってくれていることを知っているわけだ。音を上げて、踵を返すわけにはいかない。
半泣きになりつつ、弟マーを先導しながら歩くこと数分。
ようやく第一の滝「二重滝」に到着した。

轟九十九滝の素晴らしいところは、まず絶妙に派手な「二重滝」ではじまるところだと思っている。
純粋なエンタメ的にも、純粋な滝の魅力的にも素晴らしい二重滝。水量も、神の手による造形も、ロケーションも。どれをとっても一級品。別にこの滝を目標にここを訪れて、満足できるレベルの滝なのだ。
そんな二重滝がトップバッターで姿を現し、大勢の滝好きを感嘆させてはじまる冒険。何度来ても素晴らしい。
階段地獄を乗り越えた者を、山は、滝は、温かく抱擁してくれるのである。
そして、そこからさらに進んでいった先で、思いもよらない出会いが待ち受けているのであった。
