いせや農場以降もとりたてて目的地も決めずに車を走らせる俺。車内にはひたすら「ハライチのターン!」が流れている。
「ハライチのターン!」は最近俺が一番気に入っているラジオ番組である。
何となく車を走らせるだけでも良いかなと思えるのは、こうしたお気に入りのラジオがあるおかげでもあるだろう。
適当に走らせること30分。ふと鳴門ウチノ海総合公園が近くにあることを思い出し、ちょっくら寄ってみることにした。
鳴門ウチノ海総合公園
鳴門ウチノ海総合公園は海に面した、非常に広い公園だ。俺は覚えてないけど、小さい頃はよく訪れたらしい。
子連れの家族がたくさんいたり、駅伝(?)の選手や陸上をしているらしき小学生たちがコーチの指示にしたがって走り回っていたり、犬の散歩を楽しむ人たちがいたりと活気がある公園だ。
また、パークセンターではこの時期ならではのイベントが静かに行われていた。
ウチノ海公園ひなまつり。周辺にたてられたノボリには「ビッグひなまつり」という文字がおどっている。
出入り口からすでに「ひなまつり」モード。子どもの頃から雛人形が怖い俺からすると、下手なお化け屋敷よりも遥かにおっかない空間だ。それでも勇気を振り絞り、いざ!
雛人形のオンパレード。雛人形で出来た壁。あまりの迫力にたじろぎまくり。。。
不思議だよな。同じ白塗りの顔でもバカ殿やくっきーの白塗りなら面白いのに、人形となるとめちゃくちゃ怖いんだもんな。
逃げるようにパークセンターを飛び出し、ボートの中のメダカを眺めて呼吸を整えることに。
しばらく眺めていると、知らないマダム2人組が「何がいるの?」とやってきた。
「メダカがいるんですよ」と答えると、ふたりは「メダカ? 懐かしいわあ」と嬉々として覗き込んだ。
やがて、ひとりのマダムが「これ、何が浮いてんの?」と訝しげに言った。よく見ると死んだタニシが3匹ほど浮いていた。
「死んだタニシですかね」と答えると、何故かマダムたちは爆笑しながら「あータニシか」と言い残し去っていった。意味がわからず、背中が冷たくなる思いがした。
冷たい潮風のせいか、人形とマダムのせいなのかは定かではないが、冷えた身体を温めようと少し公園内を歩いてみることにした。
木枯しに抱かれてが聴こえてきそうな色味。
海を横目にタラタラ歩く。
こういうキャンプを補助してくれる設備を見かけるたびに、専門学生の頃を思い出す。クラスの皆でバーベキューして、野球っぽいことやって楽しかったな。
巨大な海賊船のような遊具っていうのか、これがとにかくよく目立っていた。
何人かの子どもたちや、そのお父さんお母さんも楽しそうによじ登ったり、滑り降りたりして遊んでいる。
それを眺めているうちにまとわりついていた寒気もどこかへ行ってなくなり、元気を取り戻していた。
何気なく時計を見る。午前11時前か。
さて、次はどこへ向かおうか。そろそろ昼飯かな……。
少しワクワクしながら駐車場へ向かった。